こんにちは!
かんたんギリシャ神話入門の時間だよ!
今回は、いつもとはちょっと趣向を変えて……
ギリシャ神話の神々に由来する、さまざまな
症候群・エフェクトをざっくりとご紹介するわよ
神話にそこまでの興味がなくとも、
「あっ!これ分かる~」と楽しんでもらえるじゃろう
ではさっそくいってみよう!
このシリーズでは、忙しいけど「ギリシャ神話」についてサクっと理解したいという方向けに、「かんたん・わかりやすい」がテーマの神々の解説記事を掲載していきます。
雄大なエーゲ海と石灰岩の大地が生み出した、欲望に忠実な神々による暴力的でありながらもどこかユーモラスな物語群が、あなたに新たなエンターテイメントとの出会いをお約束します。
人間味溢れる自由奔放な神々の色彩豊かで魅力的な物語に、ぜひあなたも触れてみてくださいね。
今回は、医療や心理学の分野、そしてビジネスの現場などで使われる、ギリシャ神話の神々に由来する「症候群」及び「エフェクト」を一挙にご紹介します!


『神々の父ゼウスとテティス』
1811年 PD
心理学・精神医学にまつわる効果一覧
どんな神さまたちが現象の由来とされたのか、さっそく見ていきましょう。
詳細は個別記事でも解説しているから、
よければそちらも見てみてね
“期待”が人を変える?「ピグマリオン効果」


『彫像を崇拝するピグマリオン』
1717年 PD
「ピグマリオン効果」とは?
ピグマリオン効果(pygmalion effect)とは、教育心理学における心理的行動の1つで、教師が期待をかけると、学習者の成績が向上する傾向が見られるという作用である。
別名として、教師期待効果、ローゼンタール効果などとも呼ばれている。
ピグマリオン効果については、ヒトは期待された通りに成果を出す傾向が有る事の現れとされ、1964年にアメリカ合衆国の教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって実験された。
ピグマリオンと言う名称は、ギリシャ神話を収録した古代ローマのオウィディウス『変身物語』第10巻に登場するピュグマリオン王の恋焦がれた女性の彫像が、その願いに応えたアフロディーテ神の力で人間化したという伝説に由来する。
Wikipedia
つまり、「君はできる子だ~」という期待をかけることで、
本当にそうなっちゃうよというお話だね
他人に期待されることで、その期待に応える
ようにパフォーマンスが向上する心理現象じゃ
教育やマネジメントでも超定番の用語じゃのぅ
じゃぁ、ピュグマリオンってどんな人物だったのかしら?
キュプロス島の王ピュグマリオンとは?
ピュグマリオン(Πυγμαλίων)はギリシャ神話に登場する人間族の王、そして彫刻家です。
キュプロス島の伝説上の統治者として知られる彼ですが、その家族関係についてははっきりしておらず、一説によるとピュグマリオンは、海神ポセイドン(ΠΟΣΕΙΔΩΝ)の息子ともされたようです。
そんな彼が暮らしたキュプロス島といえば、生まれたばかりの愛と美と性の女神アフロディーテ(ΑΦΡΟΔΙΤΗ)が行き着いた場所として有名で、当然ながら島民たちも彼女を守護神として崇拝しました。


『ヴィーナスの誕生』
1485年頃 PD
しかしながら、一部にはこの愛の女神を認めようとしない女性たちがおり、彼女らはアフロディーテの怒りに触れて、世界初の売春婦に貶められてしまいます。
こうした女性たちのすったもんだに幻滅したピュグマリオンは、一生独身を貫くことを決意し、自らが理想とする象牙の女性像を彫刻することに専念しました。
完成した像は美しく、あまりにも写実的で、造り上げた本人であるピュグマリオンは「それ」すっかりに魅了され、本気の恋に落ちてしまいます。
彼女のような完璧な存在を自身の伴侶としたい――。
女神アフロディーテは彼の願いを聞き入れ、美しい象牙の像はその身に生命を宿し、血の通った生身の乙女となりました。
はー、愛しのマイワイフ最高……
やっぱ現実の女ってクソだわ
※個人の感想です
忠誠には相応の見返りを用意したるがな


『ピグマリオンとガラテア』
1890年 PD
ちなみに、人形のような生命のない「物」を愛の対象とすること、あるいは女性を人形のように扱って完全にコントロールしようとする性癖のことを「ピュグマリオン・コンプレックス」とも言うのだそうです。
ピュグマリオンの詳細はコチラ!


ママ大好き!「エディプス・コンプレックス」


『オイディプスとスフィンクス』
1864年 PD
「エディプス・コンプレックス」とは?
エディプス・コンプレックス(Oedipus complex)は、ジークムント・フロイトが提示した概念で、母親を手に入れようと思い、また父親に対して強い対抗心を抱くという、幼児期においておこる現実の状況に対するアンビバレントな心理の抑圧のことをいう。
男根期に生じ始める無意識的葛藤として提示された。
日本では訳語としてエディプス複合と呼ばれることもある。
フロイト派では男女ともに適用される用語であり、心的発達の重要な転換点として、また神経症の発症段階として注目されている。
フロイトは、この心理状況の中にみられる母親に対する近親相姦的欲望をギリシア悲劇の一つ『オイディプース』になぞらえ、「エディプスコンプレックス」と呼んだ。
『オイディプス』は知らなかったとはいえ、父王の命を奪い自分の母親と結婚(親子婚)したという物語である。
Wikipedia
つまり、ママが好きすぎてパパをライバル視
しちゃう幼少期の心理現象なんだね!
青年期以降の人が母親に対して強い愛着・執着
をもつ状態を「マザー・コンプレックス」というが……
一説によると、これも
「エディプス・コンプレックス」の一種なのだそうじゃ
じゃぁ、オイディプスってどんな人物だったのかしら?
テーバイの王オイディプスとは?
オイディプス(Οἰδίπους)はギリシャ神話に登場する人間族の“悲劇の”英雄です。
テーバイの王子として生まれた彼は、不吉な予言の成就を恐れた実父ライオス王(Λάϊος)によって足の踵を貫かれ、山に棄てられてしまいます。
しかし、この赤ん坊は親切な牛飼いに救われ、隣国コリントスの王夫妻に養子として引き取られた後、「腫れた足」を意味するオイディプスと名付けられて立派な青年へと成長しました。
やがて自身が実子ではないという噂を耳にし、デルフォイの神託所に赴いたオイディプスは、「父の命を奪い、母と結婚する」という凄惨な予言を受けます。
育ての親を守りたいという善意から、彼は故郷コリントスを離れる決意をしました。
しかし、オイディプスは旅の途中の三叉路で、些細な交通トラブルから一人の老人を激昂の末に死亡させてしまいます。


『オイディプス王によるライオスの殺害』
1867年 PD
その老人こそが、本当の父親であるテーバイ王ライオスでした。
その後、テーバイを苦しめていた怪物の謎かけを解いて救国の英雄となったオイディプスは、国のルールに従って先王の未亡人イオカステ(Ἰοκάστη)*を妻に迎え、新たなテーバイ王となります。
※実の母親である
数年後、国を襲う疫病の原因が「先王殺しの未解決」にあると知り、義憤に駆られて犯人捜しを始めたことで、すべての真実が白日の下にさらされました。
自分が実父をその手に掛け、実母と交わっていたことを知った彼は絶望し、妻であり母であるイオカステは自死。
オイディプスは自らの両目を突き潰して放浪の旅に出、最後はアテナイの地で神霊のような存在となってその生涯を閉じました。
どこまで神々に嫌われたら、
こんな人生になんねん……


『オイディプスとアンティゴン』 PD
オイディプスの詳細はコチラ!


ちなみに、「エディプス・コンプレックス」の女性版で、女児が父親に対して強い愛着を抱き、母親に対して敵対心を抱く心理傾向を「エレクトラ・コンプレックス(Electra Complex)」と呼ぶのだそうです。
エレクトラ(Ἠλέκτρα)は、ミュケナイの王アガメムノン(Ἀγαμέμνων)とその妻クリュタイムネストラ(Κλυταιμνήστρα)の間に生まれた王女です。
彼女は、母とその不倫相手によって命を奪われた父アガメムノンの仇を討つために、弟であるオレステス(Ὀρέστης)を国外へと逃がし、何年ものあいだ復讐の時を待ち続けていました。


『アガメムノーンの墓前のエーレクトラー』
1869年頃 PD
このお話の詳細はコチラ!


自分が大好き!「ナルシシズム」


『ナルキッソス』
1600年 PD
「ナルシシズム」とは?
ナルシシズム(narcissism)あるいは自己愛とは、自己を愛したり、自己を性的な対象とみなす状態を言う。
日本語表記では、原語に正確ではない「ナルシズム」や「ナルチシズム」が使われることもある。
語源はギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスが水面に映る自らの姿に恋をしたというエピソードに由来する。
ナルシシズムを呈する人をナルシシスト(narcissist)という。
日本においてはナルシスト(narcist)という言葉で浸透しているが、正しい熟語としては認められていない。
Wikipedia
これは割とよく聞く言葉、
「自分大好き人間」を指す場合に使うよね!
厳密には、「シ」がひとつ多いことがポイントじゃ
じゃぁ、ナルキッソスってどんな人物だったのかしら?
テスピアイの狩人ナルキッソスとは?
ナルキッソス(Νάρκισσος)はギリシャ神話に登場する人間族の狩人です。
河神ケフィソス(Κηφισός)と川の精霊リリオぺ(Λιριόπη)の子、もしくはエリスの羊飼いエンディミオン(Ἐνδυμίων)と月の女神セレネ(Σελήνη)の息子として生まれた彼は、ボイオティア地方のテスピアイで暮らしました。
ナルキッソスは眉目秀麗な若者として名高く、その美貌で多くの崇拝者を集めていましたが、傲慢な性格をしていた彼は人々からの愛をことごとく拒絶したと言われています。
神話の物語では、そんなナルキッソスを愛した2人の登場人物が苦しんだことで、思い上がった美しい青年に恐ろしい罰が下ることになりました。
1人は山の精霊エコー(Ἠχώ)。
結婚の女神ヘラ(Ἥρα)の呪いで「自ら言葉を発する力」を奪われた彼女は、一目惚れしたナルキッソスに思いを伝えることができず、衰弱して「声」だけの存在となってしまいます。


『エコー』
1887年 PD
そしてもう1人は、ナルキッソスに冷酷に拒絶されて傷ついた青年アメイニアス(Ἀμεινίας)。
彼は愛する人の家の戸口で自ら命を絶ち、憤怒の女神ネメシス(Νέμεσις)に復讐を祈りました。
その願いは聞き入れられ、ナルキッソスには、池の水面に映る自分の姿に恋をしてしまうという呪いがかけられます。
自分の顔を見つめ続けた彼は、思いが伝わらないことの辛さをその身で実感しつつ衰弱し、やがて息を引き取って水仙の花に変じました。
ムムッ!いいんです!☆
この輝く眼☆
ディオニュソスやアポロンのように
美しく渦まいた巻き毛☆
ふっくらとした頬に象牙のような頸☆
開いた唇と溢れ出す健康美☆
美しい☆
そう、U☆TSU☆KU☆SHI☆Iんですっ☆


『エコーとナルキッソス』
1903年 PD
ナルキッソスの詳細はコチラ!


一人じゃないけど孤独…「カサンドラ症候群」


『カサンドラ』
1898年 PD
「カサンドラ症候群」とは?
カサンドラ症候群(Cassandra Syndrome)とは、アスペルガー症候群のパートナーと情緒的な相互関係が築けないために夫または妻に生じる、身体的・精神的症状である。
アスペルガー症候群(Asperger Syndrome)とは、コミュニケーションや興味について特異性が認められるものの言語発達は良好な、先天的なヒトの発達における障害をいう。
特定の分野への強いこだわりを示し、運動機能の軽度な障害が見られることもある。
Wikipedia
コミュニケーションがうまく取れない相手との生活で孤独を感じたり、その苦悩を理解されないことで苦しむ状態のことみたいだね!
「誰も自分の気持ちを分かってくれない」となると、
言い得て妙のネーミングかもしれんのぅ
じゃぁ、カサンドラってどんな人物だったのかしら?
トロイアの王女カサンドラとは?
カサンドラ(Κασσάνδρα)はギリシャ神話に登場する人間族の王女、そして悲劇の予言者です。
トロイアの王プリアモス(Πρίαμος)と王妃ヘカベ(Ἑκάβη)のあいだに生まれた彼女は、『イリアス』を著したホメロスをして、「黄金のアフロディーテ(ΑΦΡΟΔΙΤΗ)にも見まごう」と言わしめた人物で、清楚で控えめな、それでいて黒い瞳に燃えるような情熱をたたえた非常に美しい女性とされました。
そんなカサンドラは、オリュンポス神のなかでも屈指の恋多き男・光明の神アポロン(ΑΠΟΛΛΩ)に見初められ、その身を委ねる見返りに「予言の力」を授かることになります。
しかし、能力を身につけた瞬間、この恋の破局を予知した彼女はアポロンの抱擁を拒絶。
突然の裏切りに憤慨した光明神は、新たに「カサンドラの予言を誰も信じない」という呪いをかけて、その場を立ち去ってしまいました。
くしくもその数年後、かの有名なトロイア戦争が勃発。


『トロイアの木馬の行進』
1760年 PD
カサンドラは、祖国に降りかかるあらゆる危険の存在を的確に予言しますが、彼女の訴えはアポロンの呪いによって、誰からも聞き入れてはもらえませんでした。
カサンドラの奮闘も虚しく、ついにトロイアは陥落。
彼女はミュケナイの王アガメムノン(Ἀγαμέμνων)の「戦利品」としてギリシャへと連行され、彼の妻クリュタイムネストラ(Κλυταιμνήστρα)と愛人アイギストス(Αἴγισθος)の手にかかってその生涯の幕を閉じることになります。
もちろんカサンドラはこの未来をも予見していましたが、彼女の警告に耳を傾ける者は、ついに現れることはありませんでした。
あんのクソ神に出会ってから、人生散々だったわ
もらうものだけもらってとんずらなんて、
それは道理が通らないさっ☆


『トロイの炎』
1759年–1762年 PD
カサンドラの詳細はコチラ!


私がいなきゃ!「アトラス型パーソナリティ」


『天球を支えるアトラス』
1646年 PD
「アトラス型パーソナリティ」とは?
アトラス型パーソナリティ(The Atlas personality)とは、ギリシャ神話に登場する巨人アトラスが天空を支えることを強いられた物語にちなんで名付けられたもので、幼い頃から大人の責任を負わされる傾向にある人を指す。
そのため、晩年に強迫的な介護行動に走る傾向があると言われている。
アトラス型パーソナリティは、幼少期に、多くの場合混乱した家庭環境の中で、両親への心理的サポートを提供するなどの責任を負わなければならないと感じていた人に典型的に見られる。
結果として、成人期には楽しみのない性格になり、世界の重荷を背負っているように感じることがある。
うつ病や不安、他者への過敏さ、自分のニーズを主張できないことも、識別可能な特徴とされる。
Wikipedia
日本でも問題になっている
「ヤングケアラー」に近いような気がするね!
確かに、あの背負いっぷりは
見ているだけでも辛いものがあるからのぅ……
じゃぁ、アトラスってどんな神さまだったのかしら?
天を支える巨人アトラスとは?
アトラス(Ἄτλας)はギリシャ神話に登場するティタン神族(Τιτηνες)の巨人です。
神話にはあまり興味がなくとも、巨大な天球を肩に担ぐ男性の像として、彼の姿をご存じの方も多いかもしれません。
アトラスは巨人のなかでも特に際立った存在で、ティタノマキアの戦い(Τιτανομαχία)においては、筋骨隆々とした巨体と恐るべき怪力を武器に戦場で荒れ狂い、オリュンポスの神々を散々に苦しめました。
結局、ティタン神族は戦に敗れてしまいますが、敗軍のなかで一際手を焼かされた存在に対しては、どのような処遇が待っているでしょうか。
戦場において悪目立ちしたアトラスに対する、オリュンポスの神々の心証は当然ながら最悪なものとなり、彼には特別な刑罰が言い渡されました。
それが、世界の西の果てに立ち、天空を担いで永遠に支え続けること。
このエピソードが、絵画や彫刻でよく見る、天球を担いだ男性の姿に繋がっているのです。
はー、首も肩も腰もぜんぶ痛い!!
辞めさせてもらいますわ!!


『アトラスとヘスペリデス』
1925年 PD
アトラスの詳細はコチラ!


ちなみに、「自分が会社を支えなければ」「家族を支えなければ」と、すべての責任を1人で背負い込んでしまい、過度なプレッシャーからうつ病や心身の不調をきたしてしまう状態を、とある作家の著作になぞらえて「アトラス症候群(Atlas Syndrome)」とも呼ぶのだそうです。
※正式な医学用語とかではないらしい
前向きで建設的な意味合いで言うけどさ
“あなたの代わりなんて、いくらでもいる!!”
だから、理不尽なレベルでキツイ仕事なら、
さっさと辞めちゃおう!
仕事が回るかどうかを考えるのは、
会社と経営者の責任だからね!
ブラック労働しちゃう人が、ブラック企業
の生存を助けてしまう側面もあるものねぇ~
マネジメント・意思決定にまつわる効果一覧
“押し付け”はダメ!ゼッタイ!「プロクルステスの寝台」


Canvaで作成
「プロクルステスの寝台」とは?
プロクルステスの寝台(Procrustean bed)とは、ビジネスや組織において、「既存の古いルールや自分の主観(ベッド)」に、無理やり「新しいアイデアや多様な人材(旅人)」を当てはめようとして、結果的にその本質や才能を台無しにしてしまう行為をいう。
他にも、教育や子育てにおいて大人の決めた枠(基準)に子どもを無理やり合わせようとしたり、ビジネスや政治において画一的なルールを適用し現場の多様な実情や柔軟性を無視することなども指す。
また、自分の理論や仮説を正当化するために、都合の良いデータだけを残して他を切り捨てるような場合にも用いられる。
Wikipedia
要するに、頭が固くて融通の利かないおっさん、もしくは自分の都合に合わせてすべての事実を歪曲するおっさんのことだね!
おっさんに限定する必要はないじゃろうが、
意味合い的にはそういうことじゃのぅ
じゃぁ、プロクルステスってどんな人物だったのかしら?
画一化の狂人プロクルステスとは?
プロクルステス(Προκρούστης)はギリシャ神話に登場する小神または半神の男性です。
一般に海神ポセイドン(ΠΟΣΕΙΔΩΝ)の息子とされる彼は、南ギリシャのアッティカ地方を拠点に活動する狡猾な強盗でした。
プロクルステスは、小都市エレウシス近郊にあるケフィソス川付近あるいはコリュダロスに住居を構え、通りかかる旅人を温かく家に迎え入れたといわれています。
その後、彼は客人に寝台(ベッド)で一休みするよう勧め、以下の要領で猟奇的な犯行に及びました。
| 手順① | 客人を所定の寝台(ベッド)に案内して横たわらせ、隙を見てその身体を縛りつける | |
|---|---|---|
| 手順② | 客人の身長<ベッドの長さの場合 | 金床と槌を用いて客人の手足を引き伸ばし、その身長をベッドの長さにシンデレラフィットさせる |
| 客人の身長>ベッドの長さの場合 | のこぎりを用いてはみ出した部分(主に脚)を切断し、客人の身長をベッドの長さにシンデレラフィットさせる | |
| 結果 | 犠牲者は手足の関節をぐちゃぐちゃにされるか、四肢を切断されて死亡 ※背の高い者用と低い者用の2つのベッドがあったとも | |


何が本人をそうさせたのかは分かりませんが、いずれにせよ残酷極まりない行為で罪なき人々の命を奪った彼は、「引き伸ばす者」を意味するプロクルステス、あるいはダマステス(Δαμάστης)やポリュペモン(Πολυπήμων)といった名称で恐れられたとされています。
しかし、アッティカ地域を恐怖に陥れた狂気の強盗も、神々に選ばれし英雄には敵わず、プロクルステスは旅に出たばかりのアテナイの王子テセウス(Θησεύς)によってきっちりと討伐されてしまいました。
ふひひ…ぴったり…
シンデレラフィット……
これこそが究極の「美」……
プロクルステスの詳細はコチラ!


何事もほどほどに…「イカロスの翼」


『ダイダロスとイカロス』
1799年 PD
「イカロスの翼」とは?
イカロスの翼とは、ギリシャ神話に登場する少年イカロスのエピソードに由来し、「過信や欲望による無謀な挑戦、およびその結果としての破滅」や「人間の行き過ぎた技術への戒め」を表す言葉である。
「能力を過信して身の程知らずな行動をとると失敗する」という意味で、無謀な野心やリスクを警告する際に用いられる。
また、人間が自然の領域を侵すような科学技術の進歩や、それを過信することに対するメタファー(比喩)としても使用される。
Wikipedia
とどのつまり、「調子に乗り過ぎて舞い上がんなよ」
って意味だね!
「出る杭は打たれる」というより、この場合は
暴走の末の自滅を戒めとるようじゃのぅ
じゃぁ、イカロスってどんな人物だったのかしら?
名匠の息子イカロスとは?
イカロス(Ἴκαρος)はギリシャ神話に登場する人間族の青年です。
彼は、伝説の工匠ダイダロス(Δαίδαλος)とクレタ島の女奴隷ナウクラテ(Ναυκράτης)の息子で、兄弟にはイアピクス(Ιάπυξ)という名の人物がいたとされています。
ギリシャ全土で名声を博した著名な発明家・彫刻家そして建築家でもある父をもったイカロスは、いつの日か、自分自身も各地を冒険して世界を見たいという望みを抱いていました。
しかし彼は、ダイダロスが関わった業務上のトラブルに巻き込まれ、父とともにクレタ島の迷宮ラビュリントス(Λαβύρινθος)に幽閉されてしまいます。


イカロスとダイダロスは、急場しのぎで拵えた「翼」を身につけて牢獄からの脱出を試みますが、ここで、残酷な運命が若き青年を悲劇へと導くことになりました。
イカロスは、初めて空を飛ぶ喜びにテンションが上がってしまい、父の忠告を忘れて一気に飛行高度を上げます。
次の瞬間――。
案の定、太陽の熱で蝋が溶け、イカロスの翼が崩壊。
彼は、あっという間に地球の重力に引き寄せられ、海へと墜落してその命を落としてしまいました。
メー〇ェがぁぁッ!


『イカロスの墜落』
1635年頃 PD
イカロスの詳細はコチラ!


マジで時間の無駄…「シシュポスの岩」


ImageFXで作成
「シシュポスの岩」とは?
シシュポスの岩(the stone of Sisyphus)とは、ギリシャ神話に登場するコリントスの王シシュポスに科せられた無期の刑罰から来た言葉で、「永遠に終わらない、むなしい労働や苦行」を指す。
いくら努力しても報われず、終わりが見えない無駄な労働のたとえとして用いられ、日本でいう「賽の河原」に相当する。
Wikipedia
何の生産性もない無駄な作業……
仕事の現場にも腐るほどあるよね!
「お辞儀ハンコ」とかいう、
ゴミカスみたいな文化も思い出すのぅ
じゃぁ、シシュポスってどんな人物だったのかしら?
コリントスの王シシュポスとは?
シシュポス(Σίσυφος)はギリシャ神話に登場する人間族の王です。
彼は、テッサリアの王アイオロス(Αἴολος)と女王エナレテ(Ἐναρέτη)の息子として誕生、その兄弟姉妹にはエリスの王サルモネウス(Σαλμωνεύς)やテッサリアの王女アルキュオネー(Αλκυονη)など、各地で有力者の地位に就いた複数の面々が生まれています。
シシュポスは長じて後、ペロポネソス半島に位置する古代都市コリントス(Κόρινθος)*を建国、初代王として同国を統治しました。
※当初は「エピュラ」と呼ばれていたそう


為政者としての彼は、「都市の商業拠点化」に貢献し、「航海術の向上」にも多額の投資を行った有能な人物でしたが、その一方でシシュポスは、狡猾で欺瞞的な人物としても知られていたようです。
彼は、旅人や客人へのもてなしと寛大さを示す「クセニア」という価値概念を何度も破り、異邦人たちの命を不当に奪ってしまうことで、冷酷な王としての評判を確立しました。
シシュポスのこうした振る舞いは、やがてギリシャの王・雷霆の神ゼウス(ΖΕΥΣ)の目に留まり、自分自身を救いようのない絶望的な境遇へと陥れることになります。
主神は、シシュポスの「狡猾さ」と「策略」、そして自らが神よりも賢いと思い込むその「傲慢さ」にうんざりし、彼に原始の奈落タルタロス(Τάρταρος)行きを命じました。
伝令の神ヘルメス(Ἑρμης)によって問答無用で拉致され、深い地の底へと堕とされたシシュポスには、そこで「巨大な岩を丘の上まで永遠に押し続ける」という罰が科されたと伝えられています。
あぁぁぁーーーーー
毎日毎日くそつまんねぇぇぇぇぇ!!!!
二度も「死」を欺いておいて何を言うか、
このバカチンがっ!


『シシュポス』
1548年 PD
シシュポスの詳細はコチラ!


普通に欲しい!「ミダス・タッチ」


-ミダスの娘は触れると黄金の像に変身する
1893年版 PD
「ミダス・タッチ」とは?
ミダス・タッチ(Midas touch)とは、「資金を獲得し、投機的事業を有利にする能力・管理する能力」あるいは「ビジネスで成功を勝ち取る力」を意味する言葉で、触れたものを何でも黄金に変えてしまう魔法の力を授かった、ギリシャ神話の「ミダス王」に由来する言葉である。
「ビジネスでの大きな成功」や「金儲けの才・金運の良さ」を意味する慣用句として用いられ、別名を「ゴールデン・タッチ」ともいう。
Wikipedia
投資や起業で大成功した人は、
「ミダス・タッチ」の能力をもつといえるよね!
当のミダス王は童話『王様の耳はロバの耳』のモデルでもあり、そこそこに間の抜けた人物なんじゃがのぅ
じゃぁ、ミダスってどんな人物だったのかしら?
フリュギアの王ミダスとは?
ミダス(Μίδας)はギリシャ神話に登場する人間族の王です。
フリュギア(Φρυγία)*の王ゴルディアス(Γορδίας)と同地の大地母神キュベレ(Κυβέλη)の息子、あるいは養子として育った彼は、大変に裕福ながらも、あまり賢くはない統治者として知られました。
※現在のトルコにあたる地域
ミダス王はまた、吟遊詩人オルフェウス(Ὀρφεύς)の弟子としても、酩酊の神ディオニュソス(Διονυσος)崇拝の推進者としても歴史にその名を残しているようです。
特段優れた能力を発揮したわけでもなく、武勇伝らしい武勇伝を残したわけでもない彼ですが、唯一、ミダス王が裕福になることだけは運命によって定められていました。
ある時、「触れたものすべてを黄金に変える」という能力を得た彼は、水や食物までもがガチガチの金属に変わってしまうことを後悔し、謹んでその個性を神に返上したと伝えられています。
神々の恩寵ってほんとに意地悪なのよ
運転免許の試験みたいにさっ


『The stranger appearing to Midas』
1910年 PD
ミダスの詳細はコチラ!


ギリシャ神話をモチーフにした作品
参考までに、「ギリシャ神話」と関連する
エンタメ作品をいくつかご紹介するよ!
おわりに
今回は、「ギリシャ神話が由来の症候群・エフェクトまとめ」について解説しました。
当然といえば当然だけど、エピソードや
設定に合わせた上手いネーミングの数々だったわね
シェアが大きいだけに、世界中の人が
イメージしやすいというメリットがあるもんね!
ほかにも、「メドゥーサ効果(Medusa effect)」といった
現象の研究なども行われておるようじゃな
※写真の「抽象化」が進むにつれ、そこに写る人物の人間らしさや心(意志や感情)が失われているように知覚される現象
パパトトブログ-ギリシャ神話篇-では、雄大なエーゲ海が生み出した魅力的な神々や彼らの物語をご紹介していきます。
神さま個別のプロフィール紹介や神話の名場面をストーリー調で解説など、難しい言葉はできるだけ使わずに、あらゆる角度から楽しんでもらえるように持って行こうと考えています。
これからも「ギリシャ神話」の魅力をどんどんご紹介してきますので、良ければまた読んでもらえると嬉しいです!
また来てね!
しーゆーあげん!
参考文献
- ヘシオドス(著), 廣川 洋一(翻訳)『神統記』岩波書店 1984年
- ホメロス(著), 松平 千秋(翻訳)『イリアス 上』岩波書店 1992年
- ホメロス(著), 松平 千秋(翻訳)『イリアス 下』岩波書店 1992年
- ホメロス(著), 松平 千秋(翻訳)『オデュッセイア 上』岩波書店 1994年
- ホメロス(著), 松平 千秋(翻訳)『オデュッセイア 下』岩波書店 1994年
- アポロドーロス(著), 高津 春繁(翻訳)『ギリシア神話』岩波書店 1978年
- T. ブルフィンチ(著), 野上 彌生子(翻訳)『ギリシア・ローマ神話』岩波書店 1978年
- 吉田 敦彦『一冊でまるごとわかるギリシア神話』大和書房 2013年
- 阿刀田高『ギリシア神話を知っていますか』新潮社 1984年
- 大林 太良ほか『世界神話事典 世界の神々の誕生』角川ソフィア文庫 2012年
- 中村圭志『図解 世界5大神話入門』ディスカヴァー・トゥエンティワン 2020年
- 歴史雑学探究倶楽部『世界の神話がわかる本』学研プラス 2010年
- 沢辺 有司『図解 いちばんやさしい世界神話の本』彩図社 2021年
- かみゆ歴史編集部『マンガ 面白いほどよくわかる! ギリシャ神話』西東社 2019年
- 鈴木悠介『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』日本文芸社 2021年
- 松村 一男監修『もう一度学びたいギリシア神話』西東社 2007年
- 沖田瑞穂『すごい神話―現代人のための神話学53講―』新潮社 2022年
- 杉全美帆子『イラストで読む ギリシア神話の神々』河出書房新社 2017年
- 中野京子『名画の謎 ギリシャ神話篇』文藝春秋 2015年
- 千足 伸行監修『すぐわかるギリシア・ローマ神話の絵画』東京美術 2006年
- 井出 洋一郎『ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか』中経出版 2010年
- 藤村 シシン『古代ギリシャのリアル』実業之日本社 2022年
- 中村圭志『教養として学んでおきたいギリシャ神話』マイナビ出版 2021年
- かみゆ歴史編集部『ゼロからわかるギリシャ神話』イースト・プレス 2017年
- THEOI GREEK MYTHOLOGY:https://www.theoi.com/
他…










