
こんにちは!
いよいよパパトトブログは北欧神話篇に突入するよ!



オーディンとかロキとか、
そういう神さまが出てくる神話ね



そういえば全体の世界観やストーリー
はあんまり知らないかも…?



北欧神話はあらゆるエンタメ作品に影響を与える人気の物語、
元ネタを知っておいて損はないぞい
このシリーズでは、忙しいけど「北欧神話」についてサクっと理解したいという方向けに、「かんたん・わかりやすい」がテーマの神々の解説記事を掲載していきます。
当シリーズの記事は、
- 急いでいる方は、本編だけパパっと斜め読みしていただければざっくり概要はOK!!
- 時間に余裕のある方は、関連記事や「Tips」にも目を通していただくことでより体系的に理解!!
という作りにしています。
厳しい自然環境が生み出した、欲望に忠実な神々による暴力的でありながらもどこかユーモラスな物語群。
また当シリーズは、



「神話」ってなんだか堅苦しくてとっつきにくそう…



はるか昔のお話なんて小難しくて寝落ちしそう…
そんなあなたのイメージを払しょくし、新たなエンターテイメントとの出会いをお約束します。
人間味溢れる自由奔放な神々の色彩豊かで魅力的な物語に、ぜひあなたも触れてみてくださいね。
今回はシリーズ第1回ということで、『そもそも北欧神話って何?』をテーマにお送りします。



ゆっくりしていってね!!



すでに忙しいひとはコチラから本編にすっ飛びじゃ
この記事は、以下のような方に向けて書いています。
- 北欧神話にちょっと興味がある人
- 北欧神話に登場する神さまのことをざっくり知りたい人
- とりあえず誰かにどや顔でうんちく話をしたい人
- 北欧神話のメインストーリーをざっくりと把握できます。
- あなたのエセ教養人レベルが1アップします。
まじで忙しい人のための結論
本気で忙しいあなたのために、この記事の概要を箇条書きでざっくりまとめておきます。



何ならここを読むだけでもOKじゃぞ
「北欧神話」とは!
- 北欧に住む古代ゲルマン人の間で語り継がれた「破滅に向かって突き進む、神々の戦いの物語」
- キリスト教の弾圧を辛くも逃れ、奇跡的に現代に残った北方ゲルマン人の独自の神々
- 原典史料は2種類の『エッダ(Edda)』と補足資料としての『サガ(Saga)』で、文献にまとめられたのはかなり後の時代
- 世界樹・ユグドラシルと9つの世界を舞台に繰り広げられる、神々や巨人、人間や小人、妖精たちの物語
- 北欧の厳しい自然環境が生み出した、バッドエンドなのにどこか清々しくて説教臭さのない独特のストーリー
- 愛だの恋だのは基本ナシ!暴力も策略も何でもありで欲しいものを手に入れる、欲望に忠実な神々のバイオレンスコメディー



です!!
お疲れさまでした!!
そもそも「北欧神話」って何?



さっそくだけど、
「北欧神話」っていったいどういう物語なんだろう?
このシリーズで解説する「北欧神話」とは、ざっくり一言でまとめるなら
破滅に向かって突き進む、神々の戦いの物語
破滅に向かって突き進む、神々の戦いの物語
です。
「神々の運命」、あるいは「神々の黄昏」を意味する最終戦争「ラグナロク」による終末が運命づけられた世界観。
神々もそれ以外の存在も、最終的にはまるっと滅びてしまうという一風変わった設定をもつこの神話は、北ヨーロッパのスカンジナヴィア半島を中心とした地域に居住した、古代ゲルマン人の間で語り継がれました。
一口にゲルマン民族と言ってもそのすべてを指すわけではなく、「北欧神話」の神々は、現在のノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランドに住んだ人々から信仰を受けたとされています。
同じ「北欧」にはフィンランドも含まれますが、こちらは言語体系も民族も異なるため、同じ神話を共有することはありませんでした。



北方ゲルマンと言えばヴァイキングよね



実際に彼らは船出の際、
最高神オーディンに勝利を誓ったそうじゃ
「ゲルマン」という単語を聞くと、世界史の授業で習った「ゲルマン民族の大移動」を思い出す方も多いのではないでしょうか。
古代ゲルマン民族には東ゲルマン人や西ゴート人などの複数の種族がいましたが、彼らは375年以降、中央アジアの遊牧民フン族の圧迫をきっかけに西に向けて大規模な移動を開始します。
ローマ帝国領内に侵入したゲルマン人は後にヨーロッパの覇権を握りますが、それゆえに彼らは早い段階でローマ文化やキリスト教の影響を受け、独自の神話や伝承を失ってしまいました。
そんなゲルマン民族のなかにあって、かなり時代が下がるまでヨーロッパに移動しなかったノルマン人だけは、独自の神々への信仰を長きに渡り守ることができたのです。


そのおかげで現在に残っているのが、さまざまなエンタメやファンタジーのモチーフにされるネタの宝庫・「北欧神話」というわけです。



ギリギリまでキリスト教化を逃れたことで、
今の世まで残ったのじゃな



まぁ結局は、異教としてガッツリ排除されちゃうんだけどね~
北欧神話の原典史料



「北欧神話」はどんな資料がもとになっているの?
「北欧神話」の正確な成立年代は分かっていませんが、紀元1世紀ごろから数百年をかけて、文字をもたない古代ゲルマン人の口承によって語り継がれたとされています。
北欧の文化や風習、原始宗教などが神話の形をとって初めて文献にまとめられたタイミングは非常に遅く、9世紀に入ってからのことでした。
この時代以降に記された2種類の『エッダ(Edda)』と呼ばれる書物が、今日に伝わる「北欧神話」の原典史料として扱われています。



2つの『エッダ(Edda)』について、ざっくりまとめるぞぃ
名称 | 『古エッダ』 | 『新エッダ』 |
---|---|---|
別名 | 『詩のエッダ』 『韻文エッダ』 | 『スノリのエッダ』 『散文エッダ』 |
成立年代 | 不明 (17世紀に写本が発見された) | 13世紀 |
著者 | 不明(おそらく複数) | スノリ・ストルルソン (アイスランドの詩人・歴史家・政治家) |
概要 | ・9~12世紀にかけて吟遊詩人がうたった神話、英雄の物語、格言など約40編が「詩」の形式で記されている ・北欧で最も偉大な詩ともいわれる、「北欧神話」のダイレクト版 | ・スノリが北欧の伝承を拾い集めて整理し、独自に解釈を加えたもの ・本来の用途は「北欧神話」を題材に詩語の用法や韻律を解説した、初心者向けの「詩学入門書」 |
主な収録内容 | 「巫女の予言」 「オーディンの箴言(高き者の言葉)」 「ロキの口論」 「バルドルの夢」 「ヴァフスルーズニルの言葉」 「グリームニルの言葉」 「スキールニルの言葉」 「ハールバルズの歌」 「ヒュミルの歌」 「スリュムの歌」 「ヴェルンドの歌」 「アルヴィースの歌」 「リーグの歌」 「ヒュンドラの歌」 「グロッティの歌」等 | 「ギュルヴィたぶらかし」 他、詩作法と韻律ガイド |





古ノルド語(≒古アイスランド語)で書かれているのが特徴だよ!



今でいう「How-To本」が神話の根拠になるなんて、
歴史って分からないものね~



スノリ自身はキリスト教徒であったため、
今日に残る物語はすでにその影響を受けておるのも特徴じゃ
『古エッダ』と『新エッダ』にはつじつまの合わない点もいくつかありますが、両書を重ね合わせて読むことで、「北欧神話」の一貫性のある物語が浮かび上がってくるという寸法になっています。
また、これらの書物の他にも「北欧神話」を形作る文献の大系があり、それらは『サガ』と呼ばれています。
『サガ(Saga)』とは「物語」や「語られた出来事」などを意味する言葉で、アイスランドで独自の発展を遂げた散文形式の文学のことを指しています。
内容的には『エッダ』シリーズと重複する部分も多いようですが、ヴァイキング時代の人々の生活や思想を知ることで、より深く「北欧神話」の世界観を理解することができるようになっています。



『ロマン○ング サガ』とか
『ヴィン〇ンド・サガ』の「サガ」ね



『サガ』は大まかに以下の4つに分類されるよ!
分類 | 宗教的・学問的サガ | 王のサガ | アイスランド人のサガ | 伝説的サガ |
---|---|---|---|---|
概要 | アイスランドへの移住の記録、キリスト教改宗の歴史など | 9~13世紀のノルウェーの歴史 | アイスランド人が自国語で書いた文学、キリスト教化前の文化等の記録 | 英雄たちの物語 |
主な作品 | 『植民の書』 『キリスト教徒のサガ』 『ストルルンガサガ』ほか | 『ヘイムスクリングラ』 『ヨームのヴァイキングのサガ』 『赤毛のエイリークのサガ』ほか | 『エギルのサガ』 『蛇の舌のグンラウグのサガ』 『グレイティルのサガ』 『ニャールのサガ』 『ラックス谷のサガ』ほか | 『ヴォルスンガサガ』 『フロールヴ・クラキのサガ』 『ラグナル・ロズブロークのサガ』ほか |





これらの文献が「北欧神話」の世界観をつくっておるのじゃな
北欧神話に登場する神々と種族



「北欧神話」も、「日本神話」や
「エジプト神話」と同様に多神教の世界なのよね?
「北欧神話」には、神と呼ぶにはあまりにも不完全で欲望に忠実過ぎる、極めて人間臭い個性的な神さまが数多く登場しています。
また、神さま以外にもさまざまな種族が登場してやりたい放題に振舞うことで、破天荒で暴力的なのにどこかユーモラス、そんな「北欧神話」独特の空気感が形成されているのです。



「北欧神話」に登場する種族を、大まかに抑えておくのじゃ
- アース神族
-
司るもの 祭祀や魔術、法律、知識、戦闘など 概要 ・「北欧神話」のほぼ主役と呼べる神々
・特に際立って欲望に忠実
・ほとんどのキャラが戦闘狂
・アース(Áss)は「命」「生命力」の意主要なメンバー オーディン、トールなどメジャーな神々はだいたいコチラ パパ、ときどきトト【欲望に忠実で破天荒、あらゆるトラブルを招く主たる神々】アース神族【北欧神話】 | パパ、ときどきトト 今回は北欧神話よりアース神族をご紹介!北欧神話における二大神族のひとつ!アースガルズに住み北欧の世界を統べた主人公ともいえる神々のグループ!オーディンやトール、… - ヴァン神族
-
司るもの 豊穣、富、愛欲など 概要 ・アース神族と対を成す神族
・アース神族と争ったり協調したりする関係性
・実際に物語に登場する神さまは少ない
・ヴァン(Vanr)は「光り輝く者」の意主要なメンバー ニョルズ、フレイ、フレイヤ パパ、ときどきトト【豊穣、富と通商、愛と美を司る美しくも個性的な神々】ヴァン神族【北欧神話】 | パパ、ときどきトト 今回は北欧神話よりヴァン神族をご紹介!北欧神話における二大神族のひとつ!ヴァナヘイムに住み、豊穣と富、通商や愛欲と美を司る神々は、頭数は少ないものの強烈な個性を… - 巨人族
-
パパ、ときどきトト【神話の敵役は北欧の過酷な自然環境の象徴】巨人族ヨトゥン【北欧神話】 | パパ、ときどきトト 今回は北欧神話より巨人族(ヨトゥン)をご紹介!神話における「敵役」である彼らは、古代北欧の人々が直面した過酷な自然環境の象徴だよ!巨人という割に賢い奴や美人もいた…
- 小人族(ドヴェルグ)
-
パパ、ときどきトト【グングニル、ミョルニルなどを作り出した鍛冶職人】小人族ドヴェルグ【北欧神話】 | パパ、ときどきトト 今回は北欧神話より小人族(ドヴェルグ)をご紹介!ドワーフの名称でも知られる一族は、鍛冶や細工の腕に優れ様々な武器・魔法の品物を作り出した!神々や人間に強要されて仕…
- 妖精族(アールヴ)
-
概要 ・美しい「白妖精(リョースアールヴ)」と醜い「黒妖精(デックアールヴ)」
・一種の先祖霊だと考えられている
・「エルフ」や「ダークエルフ」の元ネタ主要なメンバー 特になし パパ、ときどきトト【古代北欧の先祖霊、ファンタジーに登場するエルフの原形】妖精族アールヴ【北欧神話】 | パパ、ときどき… 今回は北欧神話より妖精族(アールヴ)をご紹介!西洋ファンタジーに常連のエルフの原形となった彼らは、もともと先祖霊や精霊のような存在だった!?神話の中ではあまり活躍… - 人間族
-
パパ、ときどきトト【最高神オーディンに気に入られて過酷な運命を辿る】ヴォルスングの一族【北欧神話】 | パパ、ときどきト… 今回は北欧神話よりヴォルスングの一族をご紹介!最高神オーディンの加護を得た血族で、数々の英雄を生み出した名門の王家!でも相手はあのオーディン、皆それぞれ活躍した…



この5つの種族が「北欧神話」の物語を紡いでいくよ!


おおまかな世界観とあらすじ



最後に、「北欧神話」全体を構成する世界観と、
おおまかなあらすじをご紹介するよ!
「北欧神話」の世界観を象徴する最大の要素は、何と言っても「ユグドラシル」の存在であるといえるでしょう。
これは「宇宙樹」、「世界樹」あるいは「生命の樹」とも呼ばれ、古代北欧の人々は、すべての世界が「天と地を貫く巨大な樹によって支えられている」と考えていました。
神話に登場する神々も巨人も人間たちも、すべての生ある存在はこの世界樹・ユグドラシルに見守られながら生きている、という世界です。



説明するより、見た方が早いわね



この樹は一般にトネリコとされておるが、
長寿のイチイとする説もあるそうじゃ




さらにこのユグドラシルの周りには、それぞれ異なる特徴をもつ以下の9つの世界が存在し、各地に神々や妖精、巨人たちが住んでいます。
アースガルズ | ・中央かつ高台に位置するアース神族の神々が暮らす世界で、シンプルに天上世界のイメージ。 ・この中にもヴァルハラ(戦死者の館)など有名な場所がたくさんある。 ・実はヴァン神族や巨人も住んでおり、割と普通に侵入される。 |
---|---|
ヴァナヘイム | ・ヴァン神族が住む世界で、正確な位置関係や特徴は分かっていない。 ・最終戦争ラグナロクの影響を受けなかった数少ない世界のひとつ。 |
ミズガルズ | ・アースガルズから全体を見下ろせる場所に位置する、人間たちが暮らす世界。 ・始祖の巨人ユミルのまつ毛から作られた柵で囲われており、時々神さまが降りて来ては人間が騒動に巻き込まれている。 |
ヨトゥンヘイム | ・神族と対立する巨人族が住んでいる世界で、ミズガルズの柵の外側に位置する。 ・東方あるいは北方に位置すると言われている。 |
ニブルヘイム | ・天地創造の前から存在する霜と氷に覆われた極寒の世界。 ・ニーズヘッグという恐ろしい飛竜が棲んでいる。 |
ニブルヘル | ・ニブルヘイムよりもさらに地下にある死後の世界で、冥界の女王ヘルが支配している。 ・病気や老衰で死んだ人間や、生前に悪い行いをした人間がここに送られる。 ※立派に戦って死んだ英雄はヴァルハラに、良い人間は天上の館ギムレーに行けるという世界観。 |
ムスペルヘイム | ・天地創造のはるか前から存在する最古の世界で、大地は炎に包まれ、常に火花が飛び散っている。 ・氷の世界ニブルヘイムと対を成す炎の世界。 |
アールヴヘイム | ・白妖精(リョースアールヴ)が暮らす世界。 ・ヴァン神族のフレイもここに住んでいた。 |
スヴァルトアールヴヘイム | ・黒妖精(デックアールヴ)が住む地下の世界。 ・正確な場所や特徴はよく分かっていない。 |

















他の神話と比べても、世界設定がえらく凝っているわね…



「ミズガルズ」はファイナル○ァンタジー7に出てくる「ミッドガル」、「ニブルヘイム」なんかはまんまの名前で登場しとるのぅ
「北欧神話」の物語は、上記のユグドラシルと9つの世界を舞台に描かれ、概ね以下のようなあらすじで最終戦争・ラグナロクへと突き進んでいきます。



今回は概要をざっくり把握しよう!
「北欧神話」のざっくりあらすじ
天も地も海もなく、ただギンヌンガガップと呼ばれる巨大な裂け目だけが存在する世界に、原初の巨人ユミルが生まれる。
時を経て最高神オーディンが誕生。
彼は兄弟たちと共にユミルを打ち倒し、その遺体をバラバラにして世界を創造する。


オーディンを始めとした様々な神さまが世界各地で大暴れする。
トールと巨人の対決、フレイヤの首飾り事件、ロキの人妻丸刈り事件など。
神々が自由気ままに行動する一方で、人間たちはたびたび混乱に巻き込まれる。
ほんわか日常系バイオレンスコメディーから一転、神々の間で世界の終末に関する噂が流れ始める。
滅亡を恐れたオーディンは独自に行動を開始し、人間の英雄を戦死させてヴァルハラに集めたりしはじめる。


皆の人気者バルドルの死を契機として一気に雲行きが怪しくなり、ついに怖れていた最終戦争が勃発。
神々と巨人は激しく戦うも、そのほとんどが相討ちとなり、予言通り世界は滅亡してしまう。
一部の神々や人間は生き残り、かつてアースガルズがあった場所で昔を懐かしむシーンで「北欧神話」は堂々完結する。



う~ん、とんでもなく独特ね



詳しいエピソードは今後の記事でご紹介するよ!






















北欧神話をモチーフにした作品



参考までに、「北欧神話」と関連するエンタメ作品をいくつかご紹介するよ!
ざっくりまとめ



破滅が確定した世界で、
人間たちは神々と巨人の争いのあおりを受ける…



古代ゲルマン人もなかなかストイックな神話を考えたものね…
全体的に暗くて救いのない印象を受ける「北欧神話」の世界観の形成には、古代ゲルマン人が日々対峙していた、北欧の厳しい自然環境が影響を与えたと考えられています。
彼らが暮らした北の大地は1年の半分ほどが雪と氷に閉ざされ、毎日が生きるか死ぬかの戦いともいえる、過酷な生活を送らざるを得ませんでした。
なかには冬を越せずに滅んでしまった集落もあったことでしょう。
そういった環境の中で語り継がれた伝承が、誇り高く冷徹に生き、戦いで命を落とすこともいとわない勇猛な神々を生み出したといえるのです。
また、そのためか「北欧神話」には、愛や恋にまつわる物語がほとんどなく、微笑ましいほんわかエピソードも母子の愛情を感じさせるような逸話もあまりありません。
神々が智謀や暴力を駆使して望みのままに欲しいものを手に入れる、そんなドライで荒々しくも、どこか清々しくて嫌悪感の少ない物語は、厳しい冬を迎える北欧の地でだからこそ成立したのかもしれません。





太陽が降り注ぐエーゲ海で生まれた「ギリシャ神話」とは、
まるで毛色が違うのじゃな



「巨人族」は純粋な悪ではなく、
厳しい自然環境の表象と考えられているよ!
最終的にはあらゆるものが滅亡してしまうという悲劇的な神話のラストシーンにも、厳しい自然環境と争いに翻弄されながら生き抜いてきた、北方ゲルマン人の死生観が反映されたと考えられているのです。



「北欧神話」のおおまかな構造はつかめた気がするわ



大枠を抑えて個別の話に入った方が、理解も早いだろうしね



今回の記事の内容をざっくりまとめておくのじゃ
「北欧神話」とは!
- 北欧に住む古代ゲルマン人の間で語り継がれた「破滅に向かって突き進む、神々の戦いの物語」
- キリスト教の弾圧を辛くも逃れ、奇跡的に現代に残った北方ゲルマン人の独自の神々
- 原典史料は2種類の『エッダ(Edda)』と補足資料としての『サガ(Saga)』で、文献にまとめられたのはかなり後の時代
- 世界樹・ユグドラシルと9つの世界を舞台に繰り広げられる、神々や巨人、人間や小人、妖精たちの物語
- 北欧の厳しい自然環境が生み出した、バッドエンドなのにどこか清々しくて説教臭さのない独特のストーリー
- 愛だの恋だのは基本ナシ!暴力も策略も何でもありで欲しいものを手に入れる、欲望に忠実な神々のバイオレンスコメディー



です!



次回からの個別記事をお楽しみに!
おわりに
今回は、「北欧神話ってそもそも何なの?」をテーマに解説しました。
パパトトブログ-北欧神話篇-では、北の大地で生まれた魅力的な神々や彼らの物語をご紹介していきます。
神さま個別のプロフィール紹介や神話の名場面をストーリー調で解説など、難しい言葉はできるだけ使わずに、あらゆる角度から楽しんでもらえるように持って行こうと考えています。
これからも「北欧神話」の魅力をどんどんご紹介してきますので、良ければまた読んでもらえると嬉しいです!



また来てね!
しーゆーあげん!
参考文献
- 山室静 『北欧の神話』 ちくま学芸文庫 2017年
- 谷口幸男訳『エッダ-古代北欧歌謡集』新潮社 1973年
- P.コラム作 尾崎義訳 『北欧神話』 岩波少年文庫 1990年
- 杉原梨江子 『いちばんわかりやすい北欧神話』 じっぴコンパクト新書 2013年
- かみゆ歴史編集部 『ゼロからわかる北欧神話』 文庫ぎんが堂 2017年
- 松村一男他 『世界神話事典 世界の神々の誕生』 角川ソフィア文庫 2012年
- 沢辺有司 『図解 いちばんやさしい世界神話の本』 彩図社 2021年
- 中村圭志 『世界5大神話入門』 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2020年
- 歴史雑学探求倶楽部編 『世界の神話がわかる本』 Gakken 2010年
- 沖田瑞穂 『すごい神話 現代人のための神話学53講』 新潮選書 2022年
- 池上良太 『図解 北欧神話』 新紀元社 2007年
- 日下晃編訳 『オーディンの箴言』 ヴァルハラ・パブリッシング 2023年
他…
気軽にコメントしてね!