ごきげんよう!今回はエジプト神話より
太陽神ラーを紹介するよ!
エジプト神話でもトップクラスにメジャーな神さまよね
名前だけは知ってるわ
ラーは太陽神としてあらゆる時代で信仰された人気の神さまだよ
それだけにあらゆる設定があるので、基本的な概要を抑えていこう!
ラーに関しては、完全に理解するのをあきらめる
のがスタートラインまであるぞい
ではさっそくいってみよう!
この記事は、以下のような方に向けて書いています。
- エジプト神話にちょっと興味がある人
- エジプト神話に登場する神さまのことをざっくり知りたい人
- とりあえず誰かにどや顔でうんちく話をしたい人
- エジプト神話に登場する「太陽神ラー」について少し詳しくなります。
- あなたのエセ教養人レベルが1アップします。
そもそも「エジプト神話」って何?
「太陽神ラー」はエジプト神話に登場する神さまです。
エジプト神話とは、ナイル川流域で栄えた古代エジプト文明の人々に信仰された神さま達の物語。鳥やカエルなど、動物をモチーフにしたユニークな神さまも数多く登場する多神教の世界です。
大きく分けて4つの地域でそれぞれ異なるストーリー(創世神話)が語られており、そのすべてを「エジプト神話」として認めるおおらかさと寛容さを持っています。
そのぶん矛盾や混乱が見られますが、それもまたエジプト神話の魅力であり他の神話とは一線を画す持ち味にもなっています。
追加設定が錯綜する物語、それがエジプト神話じゃ
主に以下のあたりの地域で信仰された神話です。
エジプト神話は起源の特定が難しいと言われます。
古代エジプト文明成立の時期から考えても、約5,000年前には神話に登場する神さま達への信仰があったようです。
とても長い歴史を持つ、ミステリアスな魅力あふれる物語です。
太陽神ラーってどんな神さま?
ラーはエジプト全域で常に信仰された太陽神です。
彼は時代時代で影響力のある神さまとの習合を繰り返し、紀元前25世紀から24世紀頃までに昼の太陽を象徴する最も重要な神さまの1人になったと言われています。
ラーはこの世界のすべてを支配すると考えられ、古代エジプトの最初のファラオとしてかの地を統治してきたと信じられていました。
そのため彼の影響力にあやかろうとした代々のファラオたちは「ラーの息子」を自称し、結果としてラーは全てのファラオの祖先という立ち位置につくことになりました。
時代、地域、権力によって立場や影響力にばらつきが生じるのがエジプト神話の神さまあるあるですが、ラーはどのタイミングでも主要なポジションを堅持した珍しい存在でもあります。
逆に言うと、それだけ太陽への崇拝というのは原初的な行動なのかもしれません。
エジプト神話には彼の他にも複数の太陽神が存在しますが、ラーはそのほとんどと習合し強大な存在に変化していきます。
ラーは全エジプトで信仰されましたが、信仰の中心地はおなじみのヘリオポリスです。
時代の変化に敏感だったのかしら
吸収合併を繰り返して常にリーディングカンパニー
であり続けた存在と言えるのかものう
ヘリオポリスは以下のあたりの地域だよ
こんなビジュアル
ラーはハヤブサあるいはハヤブサの頭を持つ人間の男性の姿で描かれ、天空の神ホルスとよく似たビジュアルですが、頭部にウラエウスのついた太陽円盤を戴いているのが特徴です。
その他にもさまざまな姿で表され、雄羊、甲虫、サギ、蛇、雄牛、猫、ライオンなどの姿をとることもあります。
特に朝は顔面にスカラベ(≒フンコロガシ)をくっつけた太陽神ケプリとしての姿、冥界にいる間は雄羊の頭部を持った人間の男性の姿で過ごします。
また他の神さまを引き立てるような役割を果たす際には、ラーは黄金の肉体、銀の骨、ラピスラズリの髪を持つ年老いたよぼよぼの王さまの姿で描写されることもありました。
うん、さっそくだけど、よく分からないわ
ラーはあらゆる神さまと同一視されたり習合しているので、
数えきれないほどの姿を持っておるのじゃ
あっちもラー、こっちもラー
そもそもワケわからんという認識で正解だね
ホルスと似たような境遇ね
ハヤブサ頭はあちこちに手を出すタイプが多いのかしら
ラーの頭についているウラエウスってなんのこと?
ウラエウスは蛇形記章とも呼ばれ、エジプトに生息するアスプコブラが鎌首をもたげて威嚇している様子を様式化したものです。
古代エジプトの主権・王権・神性の象徴であるとされました。
蛇形記章はエジプトで最も古い女神の1人である蛇の女神ウアジェトの象徴で、彼女自身がほぼコブラのビジュアルなので、ウラエウスもまたコブラとして描かれました。
ツタンカーメンの頭についてるアレだね
簡易プロフィール
名前 | ラー(Ra) |
---|---|
その他の呼び名 | レー、レアー、ラーウ 天と地の創造者 光の主人 西の雄羊 闇より生まれし光 |
象徴 | ハヤブサ 太陽円盤 |
役割 | 太陽神 ファラオの祖先 以下のものを司る ・秩序 ・王 ・空 |
主な業績 | あらゆる神々と習合し常に強い影響力を持った |
家族 | 発生源:原初の水ヌン(ヘリオポリス神話) 親:なし(ヘルモポリス神) 子:大気の神シュー(ヘリオポリス神話) 子:湿気の女神テフヌト(ヘリオポリス神話) 子:猫の女神バステト 子:戦の女神セクメト 子:愛と美の女神ハトホル ほか気が遠くなるほど多数 |
ラーはその影響力と人気があまりにも大きいことから、あちこちであらゆる神さまと関連付けられており、そのパターンはもはや無数と言えるレベルです。
そのため家族の項目について網羅性を持たせようとすると、情報が多すぎ・錯綜しすぎ・矛盾しすぎで余計に分かりにくくなるので、主だった項目に絞って掲載しています。
上記のバステト、セクメト、ハトホルですら
ラーの娘だったり彼の配偶者だったりするのじゃ
ハトホルに至っては、彼女が輪廻転生した
結果がラーであるというストーリーもある
うちの神さまはラーの親戚なんすよ!
うちの神さまなんてラーの従弟の娘の
知り合いの旦那さんなんすよ!
うちの神さままでいくともはやラーの化身だからね!
人気過ぎてもはやフリー素材化しているのね
全部把握しようという考えを捨てるわ
この引っ張りだこっぷりはギリシャ神話
の天空神ゼウスを思い出すね
誕生と家族
すでに十分ご理解いただけたかと思いますが、ラーはとにかくあちこちに顔を出す大人気の神さまです。
そのため彼の誕生秘話についても複数のストーリーがあり、主だったものは以下の2つに集約されます。
エジプト神話を構成する4つの創世神話のうち、『ヘリオポリス神話』と『ヘルモポリス神話』からラーの誕生ストーリーをご紹介します。
※残りの2つについては、基本的に上記のいずれかのストーリーラインを引き継いでいるので重複する形になります。
- 『ヘリオポリス神話』
-
エジプト神話の中でも最も古く、最もメジャーであると考えられている創世神話です。
この物語では、世界の初めに存在した原初の水ヌンより創造神としてのラーが自らの意志で誕生、子孫となる神々を生み出して世界を創造したというストーリーが語られます。
子孫には冥界の王オシリスや豊穣の女神イシスも含まれ、彼らで構成されるヘリオポリス九柱神(エンニアド)のリーダーにラーが君臨する形になります。
ヒヒ実はこれ、創造神アトゥムの辿ったストーリーを
そっくりそのままラーを主人公に挿げ替えたパターンなのじゃ【自分の意志と力で生まれてきた原初神】創造神アトゥム-Atum-【エジプト神話】 | パパ、ときどきトト 今回はエジプト神話の創造神「アトゥム」をご紹介!神話の第1話にふさわしいエキセントリックな誕生と神々の創造は、現代人の予想をはるかに裏切るものだった!? ことと政治的なニオイがするわね~
アトゥム乗っ取られちゃいました★
とと(父)実際にラーとアトゥムは習合しているからね(後述)
- 『ヘルモポリス神話』
-
こちらは時代的には『ヘリオポリス神話』より後に発展した物語で、ストーリーもガラッと変わります。
世界の初めに存在した原初の水から4柱の男神と4柱の女神が誕生、この8柱の神々(オグドアド)によって宇宙が創造され、彼らの協力により世界が発展していくというストーリーとなります。
このオグドアドが力を合わせることで1つの卵が産まれます。
この卵が孵化して生まれてきた存在こそが我らが太陽神ラーであり、暗闇しかなかった世界をその光で照らしたとされています。
ラーは卵からではなく蓮の花から生まれたというパターンもあります。
ヒヒこの物語については、以下でもやや詳しめに解説しとるぞい
【世界のはじまりの混沌に在った者】原初の水ヌン-Nun-【エジプト神話】 | パパ、ときどきトト 今回はエジプト神話の原初の水「ヌン」をご紹介!創造神より以前から存在するオリジンオブオリジンな彼は、地味ではあるけど出演数は多い名脇役だった?!
基本的には上記のいずれかのパターンで誕生し、
あちこちで活躍して大出世していくイメージで良さそうね
ラーの主要な業務
ここからは、ラーが担当する主な業務を紹介します
太陽の運行を主導する
太陽が毎朝東から上り夕方になると西に沈んでいく1日のサイクルは、エジプト神話においては太陽神ラーの壮大な航海の神話として描かれます。
ラーは朝になると天空の女神ヌトより太陽神ケプリの姿で新たに生まれ変わり、昼の船「マンデト」に乗り込み西に向けて出航します。
おはよう!
さっそく出発するZE!
太陽が天高く昇って昼になると、彼は本来のハヤブサ頭のラーの姿に変化、事実上これが彼の戦闘フォームとなります。
敵を滅ぼす紅蓮の炎!!
キュ〇ソーラー!!
彼は知恵の神トトや砂漠の神セト、大気の神シューといった仲間たちとともに、太陽の妨害者である悪蛇アポピスという怪物と激しい戦いを繰り広げながら進みます。
夕方になるとラーは創造神アトゥムの姿に変化して日没ととも一旦他界し、その後は雄羊の頭を持つ人間の姿に変化して冥界入りします。
あぁもう疲れた…帰ろ還ろ…
一行は夜の船「メセケテット」に乗り換え、亡くなった人々の魂である星を従えて冥界を進み、ここでリベンジしてくる凶暴化アポピスにとどめを刺します。
※この冥界を進む件は、ヌトに飲み込まれてその胎内を通っていくという描写がされることもあります。
ここでラーは冥界の王オシリスと一体化することでようやく一時の休息を取り、また翌朝彼はヌトからケプリの姿で誕生して新たな航海に出発するというサイクルが繰り返されます。
おはよう!
さっs(ry
ラーの乗る船は昼と夜で名前が変わりますが、一般に「太陽の船(ソーラーバーク)」と呼ばれており、この航海を下で支えて西に運んでいるのが原初の水ヌンとされています。
ご丁寧な説明ありがたいのだけど、1mmも意味が分からないわ
太陽が昇って沈んでまた昇る一連のサイクルに、
ラーの政治的な複雑さがトッピングされておるのじゃ
そして永遠に繰り返される光と闇の戦い
という中二病設定も満載ね
コチラを先に読んでもらった方がわかりやすいかもしれない!
ラーがかかわった主なストーリー
ラーが登場する主要なストーリーを紹介するよ
行方不明の子どもたちが無事帰って号泣、人間が誕生する
『ヘリオポリス神話』に準拠した場合、ラーには大気の神シューと湿気の女神テフヌトという子どもがいます。
創造神アトゥムを、ラーに入れ替えて考えれば良いのよね!
この子どもたちはある日、原初の水ヌンの深淵を見学するために遠い地に旅に出ます。
またはテフヌトが機嫌を損ねて家出してしまい、シューも彼女を追いかけて出て行ったというパターンもあります。
2人の子どもの物語は以下でも解説しておるぞ
いずれにせよ大切な子どもが2人ともいなくなってしまった上になかなか戻らないので、ラーはもう二度と彼らに会えないのではないかと深く嘆き悲しみました。
後にすったもんだあって2人は無事に帰ってきたのでラーは涙を流して大喜び。
その涙から最初の人間が生まれたという説が伝わっており、古代エジプト人は自らを「ラーの牛(家畜的なニュアンス?)」と呼んでいたそうです。
意外とかわいい一面もあるのね
権力争いに巻き込まれ、イシスに騙されて力と支配権を奪われる
『ヘリオポリス神話』の続編である『オシリス神話』では、ラーの子孫となる砂漠の神セトと天空の神ホルスが地上の王座を賭けて80年に及ぶ権力闘争を繰り広げていました。
ホルスの母親である豊穣の女神イシスはどうにかして息子を勝利させたいと願い、ここでは年老いてよぼよぼのおじいちゃんとして登場するラーに目を付けます。
イシスはラーのもとを訪れ、彼の垂らしたよだれを使って毒蛇を生み出し、これをラーにけしかけました。
アー〇ック!!
キミにきめたっ!!
痛った!!
毒蛇に咬まれたラーは当然苦しみ悶えますが、そんな彼にイシスは平然とこう言います。
今なーらこの血清が超お買い得価~格で~す!
おまえーの真の名前~と交換してや~るよ!!
背に腹は代えられないラーは彼女に真の名を明かし、これによってイシスは強大な魔力と支配権を手に入れました。
奪われたラーの力を継承したホルスはセトに勝利し、彼が地上の王になったとされています。
よだれ垂らすレベルまで弱った
ところにえげつないパンチね
弱ったラーを雑に扱うのが、その神さまの
権威性を高めることに繋がった側面もあるのじゃ
それだけラーの権威がものすごかったってことだね
いずれにせよやっぱりフリー素材化してるわね
気の毒なラーが巻き込まれた権力闘争は以下の記事でも解説しています。
人間になめられすぎてぶちギレ、
凶暴な娘をけしかけるがやりすぎて日和る
年老いてよだれまで垂らしている上、騙されて力も奪われたとあっては偉大なラーの栄光もここまでかという風潮になってきます。
案の定、人間たちは今までさんざん崇拝してきたラーの事を馬鹿にし始めました。
ラーさんももう終わりっすよね
あ~だめだろね
おじいちゃんには隠居してもろて
あいつらゆるさん!!!!
さすがに頭にきたラーは怒りのあまり自分自身の右目を抉り出してしまい、なんとそこから戦の女神セクメトが誕生します。
彼は生まれた瞬間から凶暴なセクメトに、復讐として人類に処罰を命じます。
やっておしまい!
キェェェェイイイ!!
しかしセクメトの暴れっぷりはラーの予想をはるかに超えており、手当たり次第に人間を屠ったため人類は滅亡寸前の事態にまで発展してしまいます。
さすがにビビったラーは他の神々の力を借りて彼女を止めようとしますが、セクメトがあまりに強くてどうにもなりません。
ラーは血の色に似た真っ赤なビールを醸造し、血と勘違いした彼女に飲ませて眠らせたところで、残虐性を取り除くロボトミー手術的な処置を敢行。
どうにか事態は収束し、セクメトは優しい猫の女神バステトに変化したと伝えられています。
晩年にワケわかんないことやらかすあたりも、
老いをリアルに描いているわね
この時の「ラーの右目」は、彼やセクメトなどの
神々が頭上に戴いている太陽円盤で表されるのじゃ
「ラーの目」については以下でもやや詳しめに解説しています
わしもう疲れた…
世界から引退する…
自身の引き際を察したラーは、牝牛に変身した天空の女神ヌトの背中に乗って天高く昇り、星となってその生涯の幕を閉じました。
「ピラミッド文書」によると、彼の後継となったのは大地の神ゲブで、天空の神ホルスらと協力して王国を統治したとされています。
各時代の有力者と習合し、その影響力を保ち続ける
ここまでの解説にあるとおり、ラーはとても古い時代から信仰され続けた偉大な太陽神です。
ですがその長きにわたる崇拝は、何の努力もなしに得られたものではありませんでした(多分)。
ラーは常に時代の先を見据え、次に影響力を持つのがどんなやつかチェックするのを怠りませんでした(多分)。
次はあの子が来そうだよね~
彼はいきの良さそうな若者を見つけるとそっと近づいてこう声をかけました。
M&Aしちゃってさ
おれっちとお前で、「世界」獲っちゃおうぜ?
彼の口車の乗せられた(?)神さまは決して少なくなく、結果としてラーは様々な物語に様々な姿で登場することになっていったのです。
以下にラーと習合した主だった神さまを簡単にご紹介します。
ここが整理されておくとだいぶ分かりやすくなるかもしれないね
- ①創造神アトゥム → アトゥム=ラー
-
最も古い物語である『ヘリオポリス神話』の最高位のポジションを務めるのは、創造神アトゥムです。
原初の水ヌンから自らの意志で生まれた彼は、冥界の王オシリスをはじめとした偉大な神々の祖先として君臨します。
創造主であるアトゥムには太陽神としての性格もあり、ここにラーは目を付けました(?)。
ラーとアトゥムは次第に同一視されるようになり後に習合、この物語もラーを主役として語られるパターンが生まれました。
こうしてラーは創造神にして太陽神、そしてファラオたちの父というポジションをゲットしたのでした。
ラーフューーー…ジョン
アトゥムはっ!!!!!
- ②太陽神ケプリ
-
スカラベ(フンコロガシ)の頭を持った太陽神ケプリも、ヘリオポリス近郊で信仰されたことからラーとは接触の機会があり、同一視されたのちに習合します。
「太陽運航」の項目でラーが無駄にフォームチェンジをしていたのもここが要因となっています。
ケプリは特に朝日や昇る太陽を象徴し、アトゥムは特に夕日と関連付けられたことから、3人はひとつの太陽神として時間帯ごとに役割を分担することにしました。
ケプリ東に出づるは我が曙光!!
天に昇るは我が陽光!!
3(Sun)Boy’zの朝担当、ケプリで~す!!! ラー天に坐するは我が日輪!!
烈日示すは我が支配!!
3(Sun)Boy’zの昼担当、ラーで~す!!! アトゥム宵闇呼ぶは我が落陽!!
逢魔時は我が版図!!
3(Sun)Boy’zの夕担当、アトゥムで~す!!! こととだからいちいち無駄に変身していたのね(失礼)
- ③天空の神ホルス → ラー・ホルアクティ
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ラーとよく似た顔面をもつ天空の神ホルスも吸収合併の対象となりました。
「ホルアクティ」という呼び方自体は「地平線のホルス」を意味しており、太陽として地平線から地平線を旅するラーと結びつけることを目的とした称号のようなものだったと言われています。
ラーに希望と再生の象徴のようなイメージを示すことがねらいだったのではないかとも言われています。
現実の古代エジプトでも、第1王朝をつくった最初のファラオとされるナルメルは自身を「ホルスの化身」としましたが、後の第4王朝以降ではファラオは自ら「ラーの息子」を名乗るようになりました。
歴代のファラオも、「ホルス名」「ラーの息子名」といった各方面に配慮した複数の名前を使い分けていたと言われています。
こととうまいこと乗っかった上、最後には
しっかり自分がメインになっているのね~ とと(父)生々しいね
ラーわし有能なのよん
【人気過ぎる古代エジプトの統一王】天空の神ホルス-Horus-【エジプト神話】 | パパ、ときどきトト 今回はエジプト神話の天空の神「ホルス」をご紹介!太古の昔から愛されてきた彼は人気過ぎて設定が大渋滞。最終的にはファラオの象徴にまで上り詰めたホルスの素顔とは! - ④太陽神アメン → アメン=ラー
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エジプト神話における創世神話のうち最も新しいとされるのは『テーベ神話』で、この物語において至高神として扱われたのがオグドアドの1人、太陽神アメンでした。
彼もまた太陽神という共通の属性からラーと習合し、主神としての地位を確固たるものにしていきます。
この習合は既に人気が高まっていたアメンにとっても、一地方神から創造神&太陽神&至高神というめちゃくちゃなポジションに一気に駆け上がるまさにエジプシャンドリーム的な話だったことでしょう。
- ⑤その他
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このほかにも、ラーはさまざまな神さまと同一視されて習合していきます。
創造神クヌムはラーよりもさらに古いとされる創造神の1人で、雄羊の頭を持った男性の姿で描かれます。
彼との習合の結果、ラーは冥界にいる間は雄羊頭の姿で描かれるようになったと考えられています。また戦争の神モントゥもラーと習合した神さまの1人です。
もともとラーの戦闘的な側面を表した神さまとされ、同じくハヤブサの頭を持つ姿で描かれた彼も、その信仰が高まるとラーに目を付けられきっちり習合しました。アメン=ラーの後に一瞬だけ唯一神として祀られた太陽神アテンも、短い治世の間にしっかりラーと習合しアテン=ラーになっています。
【一瞬だけ至高の唯一神にされた悲運の男】太陽神アテン-Aten-【エジプト神話】 | パパ、ときどきトト 今回はエジプト神話の太陽神「アテン」をご紹介!あまり目立たない地方神は政治の都合で唯一神にまで持ち上げられたが、その栄光はたったの20年で終了した!?
やり手と言えばやり手
節操がないといえばない
とりあえずすさまじくフットワークが軽いのは伝わるね
こちらの解説ではキャラとしての面白さを優先してラー主導でガンガン習合していった感じで表現していますが、すべてのケースでラーが吸収側だったわけではないようです。
特にアメンについては、ラーへの信仰がだいぶ衰退してきた時代の習合で、パワーバランスでいえばアメンの方が上だったと取れる記述もありました。
世界の神話との関係
ラーは太陽神であるため、ギリシャ神話の太陽神ヘリオスが彼に相当する存在として認識されていたと言われています。
ってことは、光明の神アポロンともつながるのかしら?
ヘリオスとアポロンもまた習合するから、
そうなるかもしれんのう
ラーが登場するエンタメ作品
ラーは様々な顔をもっているだけあって、
ゲームやアニメなど多くのエンタメ作品に登場します
ラーが登場する作品を簡単に紹介するわよ~
- 真・女神転生シリーズ
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『真・女神転生』は、西谷史先生による小説『デジタル・デビル・ストーリー』から派生したコンピュータRPGのシリーズ作品。
様々な悪魔や神さまなどを仲魔にして戦うゲームです。
この作品でのラーはナンバリングによりコラボ相手(習合相手)が変わっているみたいで、アメン・ラーとして登場していたりコンス・ラーとして登場していたりするようです。
いかにもラーらしい感じがしますね。 - 遊☆戯☆王シリーズ
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1996年から2004年まで週刊少年ジャンプにて連載された、高橋和希先生による漫画作品、およびその派生作品です。
漫画ももちろんですがやはりカードゲームが有名ですよね。
「ラーの翼神竜」といえば結構初期からあるカードではないでしょうか。
筆者もリアルタイムで欲しかった記憶があります。 - とーとつにエジプト神シリーズ
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『とーとつにエジプト神』は、yuka先生による、エジプト神話の神を題材としたキャラクターおよびアニメ作品。かわいらしい姿にデフォルメされたエジプト神話の神さまたちが登場します。
この作品ではみんなのお父さん役でラーが登場しています。
彼を演じている声優がなんと津田健次郎さんということで、渋い年上ポジションのキャラとして最高の配役だなと思います。 - ドラゴンクエストシリーズ
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ドラゴンクエストシリーズは、1986年5月27日に発売された『ドラゴンクエスト』を第一作とする日本製コンピュータRPGのシリーズ作品。
もはや説明は不要ですよね。
シリーズ通して登場する重要アイテム『ラーのかがみ』は、不思議な力で真実の姿を映し出す効果があり、人間に化けたモンスターの正体を暴くのに使いました。
とはいえドラクエにエジプト神話のラーが登場したことはなく、この「ラー」がほんとうに彼を指すのかは正確には謎な点も、ロマンがあって面白いですよね。
筆者はラーの名前はこれで覚えました。
おわりに
今回は、エジプト神話の太陽神ラーを紹介してきました。
エジプト神話に登場する神さまは途方もないほどに数が多く、一説には名前が分かっているだけでも約1,500の神さまがいるとも言われています。
他にも見た目が可愛かったり言動がぶっ飛んでいたり、魅力的な神さまがたくさん存在します。
その他の記事でもどんどんご紹介していきますので、良ければまた読んでもらえると嬉しいです!
エジプト神話を複雑で分かりにくくしている犯人の1人よね
それだけの絶大な人気があったんだね
エジプトと言えば太陽信仰というのが強く伝わってきたね
しーゆーあげん!
参考文献
- ヴェロニカ・イオンズ 『エジプト神話』 青土社 1997年
- 大林太良 伊藤清司 吉田敦彦 松村一男 『世界神話事典 世界の神々の誕生』 角川ソフィア文庫 2023年
- 沢辺有司 『図解 いちばんやさしい世界神話の本』 彩図社 2021年
- 歴史雑学研究倶楽部 『世界の神話がわかる本』 Gakken 2010年
- 沖田瑞穂 『すごい神話 現代人のための神話学53講 』 新潮社 2022年
- かみゆ歴史編集部 『ゼロからわかるエジプト神話』 文庫ぎんが堂 2019年
他…
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