あらすじでわかる『オデュッセイア』|かんたんギリシャ神話入門

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あらすじでわかる『オデュッセイア』
とと(父)

こんにちは!
かんたんギリシャ神話入門の時間だよ!

ことと

今回は、トロイア戦争の英雄オデュッセウス
の10年にも及ぶ故郷への旅を描いた物語…

ことと

オデュッセイア』のあらすじを紹介するわよ

ヒヒ

神々の怒りや恐ろしい怪物たちとの遭遇、そして
ペネロペとの愛が描かれた一大スペクタクルなのじゃ

とと(父)

ではさっそくいってみよう!

※本編の内容は、オデュッセウス個人の記事と同一のものです。

目次

物語のはじまり「トロイア戦争」とは?

英雄ペレウス(Πηλεύς)と海の女神テティス(Θέτις)の結婚披露宴の場に投げ込まれた、たったひとつの黄金の林檎りんご――。

争いと不和の女神エリス(Ἔρις)によってもたらされたこの果実は、結婚の女神ヘラ(Ἥρα)、戦いの女神アテナ(Αθηνη)、そして愛と美と性の女神アフロディーテ(ΑΦΡΟΔΙΤΗ)の対立を引き起こし、のちに『パリスの審判』と呼ばれる歴史的転換点を生じさせました。

ピーテル・パウル・ルーベンス『パリスの審判』1636年
ピーテル・パウル・ルーベンス
『パリスの審判』 1636年 PD

そして、この出来事が遠因えんいんとなって起こった、トロイアの王子パリス(Πάρις)とスパルタの王女ヘレネ(Ἑλένη)の「愛の逃避行とうひこう」は、後代においても伝説として語られる「トロイア戦争」の勃発へと繋がっていきます。
※この戦争は、主神ゼウス(ΖΕΥΣ)による人口抑制政策の一環として仕組まれたとも

この物語の主人公であるイタキ島の王オデュッセウス(Ὀδυσσεύς)は、知略に富んだ狡猾こうかつな軍略家としての腕を買われ、半ば強引に将軍としてこの戦争へ招集されることとなりました。

こうして彼は、愛する妻ペネロペ(Πηνελόπη)と幼い息子のテレマコス(Τηλέμαχος)を故郷に残し、遠く離れたトロイアの地を目指します。

ミュケナイの王アガメムノン(Ἀγαμέμνων)を総大将とするギリシャ軍には、智将オデュッセウスの他にも、サラミス島の王子大アイアス(Αἴας)やティリンスの領主ディオメデス(Διομήδης)、半神の英雄アキレウス(Ἀχιλλεύς)といった傑物けつぶつたちが参加しました。

対するトロイア側勢力も、賢王けんおうプリアモス(Πρίαμος)と有能な王子ヘクトール(Ἕκτωρ)を中心に鉄壁の布陣を敷き、暴力的な侵略軍の襲来に備えます。

フランツ・マッチュ「勝利したアキレウスがヘクトールの遺体をトロイの周りで引きずっている様子」1892年
フランツ・マッチュ
「勝利したアキレウスがヘクトールの遺体をトロイの周りで引きずっている様子」
1892年 PD

ところが、この「トロイア包囲戦」は9年以上にもわたる長丁場となり、双方が生産性のない消耗を続けることになりました。

果てしない膠着こうちゃく状態が10年目に突入したある時、狡知こうちに長けた軍師オデュッセウスは、事態を打開するための”とある作戦”を実行に移します。

それこそが、後の歴史に名を刻む伝説的な計略――「トロイの木馬」です。

巨大な木馬型の建造物に兵士を満載したギリシャ軍は、これを置き去りにしたまま、撤退を装って全軍を沖合へと引き上げさせました。

その後、勝利を確信したトロイア側軍勢は木馬を城内へと運び込み、終戦を記念して盛大な宴を催します。

ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ『トロイアの木馬の行進』1760年
ジョヴァンニ・ドメニコ・ティエポロ
『トロイアの木馬の行進』
1760年 PD

夜になると、その木馬からはオデュッセウスをはじめとした精鋭兵が現れ、堅牢けんろうな城門を開放したうえで、待機しているギリシャ軍本隊に合図を送りました。

やがて、市内には臨戦態勢で武装した兵士たちが怒涛どとうのようになだれ込み、難攻不落を誇ったトロイアの町は瞬く間に炎に包まれます。

神官ラオコーン(Λαοκόων)や王女カサンドラ(Κασσάνδρα)といった面々は、この事態を予測していましたが、最後まで彼らの警告が活かされることはありませんでした。

結局、この攻勢が決定打となり、トロイアはついに陥落――。

ヨハン・ゲオルク・トラウトマン『トロイの炎』1759年–1762年
ヨハン・ゲオルク・トラウトマン
『トロイの炎』
1759年–1762年 PD

華々しい勝利に大いに貢献した将軍オデュッセウスは、莫大な戦利品や捕虜、数多くの部下たちを合計12隻の船に乗せ、愛する妻と息子が待つ故郷へと帰還するために、10年間も滞在した異国の敵地を後にします。

あらすじでわかる『オデュッセイア』の物語

とと(父)

オデュッセウスの活躍を見てみよう!

ことと

それぞれのお話の詳細は個別の記事でも
紹介しているので、良ければそちらも見てみてね

トロイアを旅立った一行、さっそく進路を逸れて略奪を働く

10年にも及ぶ長期戦となった「トロイア戦争」にどうにか勝利し、故郷に残してきた美しい妻と幼い息子に1日でも早く再会するため、12隻の船団を率いて敵地を後にしたイタキ島の王オデュッセウス(Ὀδυσσεύς)――。

しかし、彼らの船旅は「順風満帆じゅんぷうまんぱん」とは真逆そのもので、神々の思惑と怒りに好き放題に振り回される、気の毒なレベルの苦難の連続となりました。

戦利品を満載した船で意気揚々と出航した旅の一行は、さっそく風にあおられて大きく進路を外れ、トラキア地方の都市イスマロスへと漂着します。

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