【忙しい人のための日本神話】エピソード7/大和へ…【あらすじ紹介】

この記事では、忙しいけど日本神話についてサクっと理解したいという方向けに、『古事記』をベースにした神話のメインストーリーをざっくりとご紹介していきます。

とりあえず主だった神さまの名前と、ストーリーラインだけ押さえておきたいという方向けのシリーズとなります。

『日本書紀』にのみ見られる独自の展開や、各地に伝わる『風土記ふどき』に記されたエピソードなどは、神さま個人(神)を紹介した個別記事をご覧ください。

この記事は、以下のような方に向けて書いています。

• 日本神話にちょっと興味がある人
• 日本神話に登場する神さまのことをざっくり知りたい人
• とりあえず誰かにどや顔でうんちく話をしたい人

まじで忙しい人のための結論

本気で忙しいあなたのために、今回ご紹介する物語のストーリーラインを、箇条書きでざっくりまとめておきます。

今回ご紹介する『神武東征じんむとうせい神話』のストーリー

• 鵜葺草葺不合命うかやふきあえずのみことと玉依毘売命たまよりびめのみことの間に生まれた長男・五瀬命いつせのみことと末っ子の神倭伊波礼毘古命かむやまといわれびこのみことは父から地上の統治を引き継ぎ、より良い地を求めて東への旅立ちを決意する
• 豊国とよのくにの宇沙(大分県宇佐市)や吉備国きびのくにの高島の宮(岡山県岡山市)などを経て青雲あおくもの白肩しらかたの津(東大阪市日下町)に至った一行は那賀須泥毘古ながすねびこの待ち伏せ攻撃を受け、兄・五瀬いつせが命を落としてしまう
• 熊野くまのの山にたどりついた伊波礼毘古いわれびこたちは、熊野山之荒神くまののやまのあらぶるかみの精神攻撃を受け全員気絶するも、天の神々により遣わされた高倉下命たかくらじのみことと霊剣・布都御魂ふつのみたまの力によって九死に一生を得る
• 道案内として八咫烏やたがらすを仲間に入れた一行は、さまざまな神さまと遭遇しながらも宇陀うだ(奈良県宇陀郡)の地に到達する
• 兄宇迦斯えうかしが罠を用意して伊波礼毘古いわれびこを待ち受けるも、弟宇迦斯おとうかしの密告によって事前に発覚、旅の一行は無事に宇陀うだを突破する
• 伊波礼毘古いわれびこは策を弄し、忍坂おさか(奈良県桜井市)の大室おおむろ(大きい岩穴のこと)に棲む八十建やそたける(多数の勇猛な土着民)を一網打尽にして征伐する
• 兄の仇である那賀須泥毘古ながすねびこを討ち取り、邇芸速日命にぎはやひのみことを臣下に加えた伊波礼毘古いわれびこは、畝傍うねびの白橿原かしはら(奈良盆地南部)に宮殿を建てて即位する
• 伊波礼毘古いわれびこは137歳で崩御ほうぎょ、後に「神武じんむ」という漢風諡号しごうが贈られる

そもそも「日本神話」って何？

「日本神話」とは、ざっくり言うと「日本ってどうやって生まれたの？」を説明してくれる物語です。

原初の神々や日本列島の誕生、個性豊かな神さまが活躍する冒険譚や、彼らの血を引く天皇たちの物語が情緒豊かに描かれています。

現代の私たちが知る「日本神話」の内容は、『古事記こじき』と『日本書紀にほんしょき』という2冊の歴史書が元になっています。

これらは第四十代天武てんむ天皇の立案で編纂が開始され、それぞれ奈良時代のはじめに完成しました。

国家事業として作られた以上、政治的な色合いがあることは否めませんが、堅苦しくて小難しいかと思ったらそれは大間違い。

強烈な個性を持つ神々がやりたい放題で引き起こすトラブルや恋愛模様は、あなたをすぐに夢中にさせることでしょう。

さぁ、あなたも情緒あふれる八百万やおよろずの神々が住まう世界に、ともに足を踏み入れてみましょう。

主な登場人物

エピソード7/大和へ…

前回のストーリーはコチラ！

よりよい統治の場所を求めて兄・五瀬命いつせのみことと共に旅立つ【神武東征じんむとうせいのはじまり】

鵜葺草葺不合命うかやふきあえずのみことと玉依毘売命たまよりびめのみことの間に生まれた4兄弟は、成長するとそれぞれの道を歩みました。

次男の稲氷命いなひのみことは母の故郷である海神わたつみの宮へと旅立ち、三男の御毛沼命みけぬのみことは海の遥か彼方にある常世国とこよのくにへ渡ります。

そこで、長男の五瀬命いつせのみことと末っ子の伊波礼毘古いわれびこ(若御毛沼命わけみけぬのみこと)が日向国ひむかのくに(宮崎県)の高千穂たかちほの宮に残り、地上の統治を父親から引き継ぐことになったのです。

兄弟は仲良く協力して仕事を行い、地上の世界・葦原中国あしはらのなかつくにの統治も概ね軌道に乗せることに成功します。

伊波礼毘古いわれびこは阿比良比売あひらひめと結婚して、多芸志美美命たぎしみみのみことと岐須美美命きすみみのみことの父親にもなっていました。

そんなある日のこと、兄弟がいつも通り仕事の打ち合わせをしていると、こんな話題で話が盛り上がります。

ああでもないこうでもないと話す2人のもとに、突然見知らぬおじいちゃんが現れました。

彼は塩椎神しおつちのかみという潮の流れを司る神さまで、突然現れては困っている者に的確すぎる助言をするという、神出鬼没のアドバイザーとしての定評がありました。

前回も登場したよ！

塩椎しおつちの話に触発された伊波礼毘古いわれびこは、その場で東方への旅立ちを決意します。

彼はこの時45歳、ここに有名な『神武東征じんむとうせい神話』の物語が始まりを告げるのです。

伊波礼毘古いわれびこはさっそく兄・五瀬いつせをはじめとした旅の仲間を組織し、高千穂たかちほの宮を発って美々津みみつの港から出航します。

訪問先	出来事や概要
豊国とよのくにの宇沙 (大分県宇佐市)	宇沙都比古うさつひこと宇沙都比売うさつひめの兄妹が宮殿まで造って歓待してくれる
筑紫国つくしのくにの岡田の宮 (福岡県遠賀郡)	1年ほど滞在
安芸国あきのくにの多祁理たけりの宮 (広島県安芸郡)	7年ほど滞在
吉備国きびのくにの高島の宮 (岡山県岡山市)	8年ほど滞在
速吸門はやすいのと (兵庫県の明石海峡)	釣りをしていた宇豆毘古うづびこという国津神くにつかみが案内役になってくれたので、槁根津日子さおねつひこという名を授ける ※彼は倭国造やまとのくにのみやつこの先祖となる

一行はなおも東に向けて旅を続けますが、次に訪れる地域で物語は急展開を迎えます。

仇敵との出会い、そして兄の死【白肩しらかたの津：VS.那賀須泥毘古ながすねびこ】

地元の事情に詳しい水先案内人を得た伊波礼毘古いわれびこの一行は順調に旅を続け、浪速渡なみはやのわたり(大阪湾沿岸)を過ぎて青雲あおくもの白肩しらかたの津(東大阪市日下町)に停泊します。

この地で旅の一行を待ち受けていたのは、これまでのような友好的な歓待とは真逆のものでした。

港の周辺は登美とみ(奈良県西部)の生駒山いこまやま周辺を支配した豪族・那賀須泥毘古ながすねびこ(またの名を登美毘古とみびこ)の勢力によって取り囲まれており、伊波礼毘古いわれびこたちは彼らの待ち伏せ攻撃を受けてしまったのです。

旅の仲間たちはそれぞれに武器を手に取り応戦、激しい攻防戦が繰り広げられます。

伊波礼毘古いわれびこたちが船に積んでいた楯たてを取り出し浜に突き立てて身を守ったことから、この地は「楯津たてつ」と名付けられ、その後に「日下くさかの蓼津たでつ」と呼ばれるようになりました。

この戦いのさなか、兄・五瀬いつせが敵の矢を手に受けて重傷を負ってしまいます。

そんなこんなで一行は南に迂回し、そこで五瀬いつせは血にまみれた自身の手を洗い清めました。

彼の傷は深かったのであたり一面は真っ赤な血に染まり、その周辺は血沼海ちぬのうみ(大阪府南部)と呼ばれるようになったと伝わっています。

負傷兵を抱えた伊波礼毘古いわれびこの一行は紀伊国きいのくに(和歌山県)の男乃水門おのみなとにたどり着きました。

そこで五瀬いつせは突然、

彼は激しい雄たけびをあげた後、そのまま息を引き取ってしまいます。

五瀬いつせの墓は紀伊国きいのくにの竈山かまやま(和歌山市周辺)に築かれたとされています。

ここまで順調に歩を進めてきた天照あまてらすの直系の子孫・伊波礼毘古いわれびこは、ここに来て手痛い敗北を喫した上に、血のつながった兄である五瀬いつせまでも失ってしまいます。

彼はこれまでに経験したことのない挫折に打ちのめされながらも、仇討ちの決意を胸に、歩みを止めることなく東に向けて旅を続けました。

ピンチとは何か？天の神々による手厚い保護【熊野の村：VS.熊野山之荒神くまののやまのあらぶるかみ】

伊波礼毘古いわれびこは兄を失った悲しみを抱えながらも、各地を巡ってその土地の神々を平定、帰順させていきました。

久米部くめべと呼ばれる傭兵集団も加えて戦力を増強した一行はある日、熊野くまのの村にたどり着きます。

すると伊波礼毘古いわれびこたちの目の前に、突然とんでもなく大きな熊が現われて立ちはだかりますが、それはたちまち霧のようにどこかに消えてしまいました。

次の瞬間、伊波礼毘古いわれびこは、すーっと引き込まれるように意識が遠のいていく感覚を覚えます。

彼だけでなく、彼が率いる屈強な軍勢もみな気を失って、バタバタと倒れていったのです。

実は、先ほど現れた大熊はこの熊野の山中に棲む神の化身で、その名もズバリ熊野山之荒神くまののやまのあらぶるかみといいました。

伊波礼毘古いわれびこたちは、この地主神じぬしのかみの荒々しくも妖しい霊力に、まんまとしてやられたのです。

それからどれほどの時間が経ったのでしょうか、伊波礼毘古いわれびこはうっすらと意識が戻るのを感じます。

身体の回復具合で寝坊を確信するあの感覚からして、かなりの時間眠ってしまっていたようですが、彼は強がってこう言いました。

伊波礼毘古いわれびこがふと目線を動かすと、目の前に何やら霊妙な剣を携えた見知らぬ神さまが立っており、彼を心配そうに見つめています。

伊波礼毘古いわれびこが言われるがままに剣を握り鞘から抜くと、次第に周囲から妖しげな邪気が祓はらわれていくのが分かりました。

彼が率いていた兵士たちも次々に目を覚ましましたが、剣の効果はそれだけではなく、なんと熊野山之荒神くまののやまのあらぶるかみたちがみな自動で斬り倒されてしまったのです。

伊波礼毘古いわれびこが詳しく事情を聴いてみると、概ね以下のような経緯があったことが分かりました。

天津神あまつかみの御子みこすらも感服させたその剣の名前は布都御魂ふつのみたまといい、この霊剣は奈良県にある石上神宮いそのかみじんぐうに祀られています。

こうして伊波礼毘古いわれびこたちは態勢を立て直して再び進み始め、高倉下たかくらじは一行の出発を静かに見送りました。

彼はその後、無事に大和やまと(奈良県)を平定して天皇に即位した伊波礼毘古いわれびこに仕え、越後国えちごのくに(新潟県)など、各地にその足跡を残しています。

どうにか行軍を再開した伊波礼毘古いわれびこの一行ですが、彼らはこのあたりでさすがに、序盤の旅とはまるで状況が違うことに気が付きはじめます。

天の世界・高天原たかまがはらから見守っていた神々もこの状況を懸念し、急遽、お助けキャラの派遣が決定しました。

ここで登場するのが、サッカー日本代表のシンボルとしても有名な、三本足をもつ八咫烏やたがらすです。

高御産巣日たかみむすびの命を受けた彼は、地上の世界・葦原中国あしはらのなかつくににひとっ飛びで駆けつけました。

こうして伊波礼毘古いわれびこたちは優秀な道案内も仲間に引き入れ、エンカウントを回避しながら快適な旅を続けるさなか、以下のような神々との出会いも果たします。

神名	概要
贄持之子にえもつのこ	吉野川の川尻で魚を捕っていた国津神くにつかみ 阿陀あだ(奈良県五条市付近)の鵜飼うかいの先祖
井氷鹿いひか	ぴかぴか光る井戸の中から現れた尾のある国津神くにつかみ 吉野の首おびと(族長)たちの先祖
石押分之子いわおしわくのこ	力を誇示するように岩を押し分けて出てきた尾のある国津神くにつかみ でも本当は伊波礼毘古いわれびこたちを出迎えに来ていた 吉野の国巣くず(土着民)たちの先祖

人望がないのにイキった兄と、冷静だけどドライすぎる弟【宇陀うだの穿うかち：VS.兄宇迦斯えうかし】

いきなり現れて自分たちに従えとは何事かと、兄宇迦斯えうかしは鏑矢かぶらやを放って八咫烏やたがらすを追い返し、その矢が落ちた場所は訶夫羅前かぶらさきと呼ばれるようになりました。

さらに兄宇迦斯えうかしは、伊波礼毘古いわれびこたちを迎え撃つための軍勢を集め始めますが、これがなかなか思う通りに進みません。

そこで兄宇迦斯えうかしは作戦を変更し、致命的なトラップを仕掛けた大きな御殿を建設します。

そこに伊波礼毘古いわれびこたちを誘い込み、歓待するふりをして罠に嵌め、そのまま亡き者にしてやろうという魂胆でした。

敵を油断させる見事な演技力で伊波礼毘古いわれびこたちを招待した兄宇迦斯えうかし、陰謀の準備は完全に整いました。

その様子をこっそりと見ていたのが、弟の弟宇迦斯おとうかしです。

弟宇迦斯おとうかしは先回りして伊波礼毘古いわれびこたちの元に現れ、兄の企みのすべてを打ち明けました。

そして迎えた宴の当日、兄宇迦斯えうかしは貼り付けたような笑顔で伊波礼毘古いわれびこを出迎え、彼を例のデスパレスに誘い込もうと画策します。

しかしその作戦は弟宇迦斯おとうかしの密告によって既に明るみに出ているので、伊波礼毘古いわれびこ側もきっちりと準備をしてきました。

彼の重臣である道臣命みちのおみのみこと(大伴連おおとものむらじらの祖)と大久米命おおくめのみこと(久米直くめのあたいらの祖)が兄宇迦斯えうかしを呼び出すと、彼に向ってこう言います。

2人の重臣はそれぞれ剣の柄つかを握りしめ、矛ほこを背中に突き付けて兄宇迦斯えうかしを御殿の中に追い入れます。

結局彼は、自分自身が作った罠にはまって命を落としてしまいました。

兄宇迦斯えうかしの亡骸は引きずり出されて八つ裂きにされてしまったので、その地は宇陀うだの血原ちはらと呼ばれるようになりました。

一方生き残った弟宇迦斯おとうかしは正式に伊波礼毘古いわれびこに仕えることになり、彼はノートラップで兵士たちに御馳走を振舞いました。

それを嬉しく思った伊波礼毘古いわれびこは、宴の席で喜びの歌を歌ったと伝えられています。

今回もどうにか難を逃れて宇陀うだを突破した一行は、その後も休むことなく長い旅を続けます。

最後の方の敵の扱い、雑になっちゃう説【忍坂おさかの大室おおむろ：VS.八十建やそたける】

宇陀うだの地を出発した伊波礼毘古いわれびこと旅の仲間は、忍坂おさか(奈良県桜井市)の大室おおむろ(大きい岩穴のこと)に至ります。

一行が大室おおむろの中を覗いてみると、その中には土雲つちぐも・八十建やそたけると呼ばれる多数の勇猛な土着民がひしめいており、唸り声をあげて伊波礼毘古いわれびこたちを待ち構えていたのです。

一計を案じた伊波礼毘古いわれびこは、八十建やそたけると戦うのではなく、彼らを御馳走でもてなすことにしました。

相手方の人数に合わせて多数の給仕人を雇った彼は、一人一人に太刀を隠し持たせるとこう言い含めます。

自分が罠に嵌められかけたことを根に持っていた伊波礼毘古いわれびこは、今度は自らが狡猾な策で敵を陥れることにしたのです。

そんな悪意には気付かない八十建やそたけるは豪勢なもてなしを喜び、宴は大いに盛り上がりました。

そして宴えんもたけなわとなった頃、ついに伊波礼毘古いわれびこが動きます。

伊波礼毘古いわれびこが作戦通りに合図となる歌を歌うと、80人の給仕人たちは一斉に太刀を抜き、八十建やそたけるをいっぺんに斬り伏せてしまいました。

こうして数多くの敵を効率的に排除した一行は、引き続き東に向けて軍を進めていきます。

兄の仇討ちを果たした弟は初代天皇に即位する【そして伝説へ…】

その後の伊波礼毘古いわれびこたちはまさに向かうところ敵なしといった状態で、一行は破竹の快進撃を続けます。

かつて五瀬命いつせのみことを死に追いやった仇敵である那賀須泥毘古ながすねびこ(またの名を登美毘古とみびこ)ですら、たいした描写もなく伊波礼毘古いわれびこに屠ほふられてしまいました。

兄の仇を討ち積年の恨みを晴らした伊波礼毘古いわれびこは、またもその昂る気持ちを歌で表現します。

また兄師木えしきと弟師木おとしきの兄弟を討ち取った戦いにおいては、長期戦で疲れ果ててしまった軍勢を見た伊波礼毘古いわれびこが、以下のような歌を歌っています。

晩年の伊波礼毘古いわれびこはハイになってしまっていたのか、至るところで歌を歌っていますが、決してその能力が衰えたわけではありません。

彼の軍勢はその後も各地を転戦し、逆らう賊を平定・帰順させ、服従しない勢力を追い払いました。

伊波礼毘古いわれびこがこうした戦いに明け暮れているさなか、彼のもとに邇芸速日命にぎはやひのみことという神さまが現れます。

なんでも彼は、地上に降りた伊波礼毘古いわれびこたちを後から追いかけてやって来たそうな。

邇芸速日にぎはやひは、伊波礼毘古いわれびこが天津神あまつかみの御子みこであることを証明する宝物(天津瑞)を献上すると、そのまま彼に仕えることになりました。

『日本書紀』では一番はじめに地上に降りていた！？

こうして地上の荒ぶる神々を平定した伊波礼毘古いわれびこは大和国やまとのくに(奈良県)にたどり着き、畝傍うねびの白橿原かしはら(奈良盆地南部)に宮殿を建てて、ついに天下を治めることになったのです。

次回以降、しばらく端折って時代が飛ぶよ

壮大な冒険を経て初代天皇に即位した伊波礼毘古いわれびこ、彼の系譜はその後も連綿と続き、『記紀』においても代々の天皇たちによるエピソードが語られています。

しかし、いわゆる「欠史八代けっしはちだい」と呼ばれる第二代綏靖すいぜい天皇から第九代開化かいか天皇までは、その生没年や系譜くらいしか記されていないほか、そもそもこれ以降の『記紀』の物語は、神さまではなく人間を中心にしたものが多くなってきます。

というわけで、次回以降の記事では、誰もが知る神話の名場面や有名な神さまが生き生きと活躍するシーンに絞ってご紹介していく形をとりたいと思います。

「あらすじ解説」で割愛した時代の出来事については、神さまたちの個別記事で紹介している場合がありますので、良ければそちらもご覧ください。

次回は、時代が大きく下がって第十二代景行けいこう天皇の御代みよ、あの日本神話随一のヒーロー・倭建命やまとたけるのみことの冒険をご紹介します。

次回までの間に活躍する神々

○第十代崇神すじん天皇の御代みよ

伊波礼毘古いわれびこの妻・伊須気余理比売いすけよりひめのとんでもない誕生秘話

大物主おおものぬしに惚れられたり、哀しい末路をたどったり

桃太郎のモデルも活躍しているよ！

祟りを起こした風神が後に祀られる

○第十一代垂仁すいにん天皇の御代みよ

新羅しらぎからやって来たモラハラ夫

不老不死を求める旅と哀しい別れ

「相撲」の起源となったパワー系神さま

…to be continued!!!

次回はコチラ！

おわりに

今回は、神々から人間の時代へと移り変わる転換点、『神武東征じんむとうせい神話』について解説しました。

パパトトブログ-日本神話篇-では、私たちの祖国に伝わる魅力的な神々や彼らの物語をご紹介していきます。

神さま個別のプロフィール紹介や神話の名場面をストーリー調で解説など、難しい言葉は出来るだけ使わずに、あらゆる角度から楽しんでもらえるようにしようと考えています。

これからも「日本神話」の魅力をどんどんご紹介してきますので、良ければまた読んでもらえると嬉しいです！

しーゆーあげん！