こんにちは!!
今回は、
ヘビの神さまを紹介するっしゃぁぁぁぁ!!!!
恐ろしい威嚇音はやめてちょうだい
いかにもエジプトな神さまのオンパレードじゃ
退屈する心配はないぞい
身近な動物に神秘性を見出し、神格化して崇拝することでお馴染みの古代エジプト文明。
彼らが生み出した神々には、ビジュアルはもちろん性格まで超個性的なメンバーが勢揃いしています。
今回はそんなエジプト神話の神さまの中から、
ヘビを神格化した神々
を一挙ご紹介します!!
大地を滑るように進み、その鋭くも静かな動きで一瞬のうちに獲物を仕留める、砂漠の狩人ヘビさん。
古代エジプト人たちは、彼らにどのような神性を見出したのでしょうか。
本記事では、ヘビ系の神さまの概要をざっくりとつかんで頂けるように構成しています。
ぱぱっと見ておいて損はないので、他の神話では体験できないオリジナリティ溢れすぎる世界観に触れてみてくださいね!
※便宜上、一般的な蛇と特定種のコブラをまとめて「ヘビ系」に分類しています。
忙しい人はコチラから本編にひとっ飛びじゃ
この記事は、以下のような方に向けて書いています。
- エジプト神話にちょっと興味がある人
- エジプト神話に登場する神さまのことをざっくり知りたい人
- とりあえず誰かにどや顔でうんちく話をしたい人
- エジプト神話に登場するヘビの神々について少し詳しくなります。
- あなたのエセ教養人レベルが1アップします。
- ヘビちゃんたちのことが今よりちょっぴり好きになります。
まじで忙しい人のための結論
毎日忙しいあなたのために、この記事でご紹介する神々の特徴を先にまとめておきます。
ぱっと見で把握してね
ここを見るだけでもOKさっ!
・この記事のまとめ
- ヘビの神さまは、それぞれのやり方で王権を守護する
・この記事のまとめ
- ヘビの神さまは、それぞれのやり方で王権を守護する
です!
お疲れさまでした!!
割とシンプルな感じか…?
そもそも「エジプト神話」って何?
エジプト神話とは、ナイル川流域で栄えた古代エジプト文明の人々に信仰された神さま達の物語。鳥やカエルなど、動物をモチーフにしたユニークな神さまも数多く登場する多神教の世界です。
大きく分けて4つの地域でそれぞれ異なるストーリー(創世神話)が語られており、そのすべてを「エジプト神話」として認めるおおらかさと寛容さを持っています。
そのぶん矛盾や混乱が見られますが、それもまたエジプト神話の魅力であり他の神話とは一線を画す持ち味にもなっています。
動物をほぼそのまま神さまにするのがエジプシャンなのじゃ
主に以下のあたりの地域で信仰された神話です。
エジプト神話は起源の特定が難しいと言われます。
古代エジプト文明成立の時期から考えても、約5,000年前には神話に登場する神さま達への信仰があったようです。
とても長い歴史を持つ、ミステリアスな魅力あふれる物語です。
古代エジプトにおけるヘビ
物陰に潜む冷血の捕食者、ヘビは何世紀にもわたり人々の心を魅了し、また恐れさせてもきました。
彼らの近寄りがたい攻撃的なイメージには、反対に強烈に神聖視されやすいという特徴があったようです。
ヘビたちはエジプトのみならず、ギリシャや日本など、世界各地で信仰を受けた形跡が残っています。
古代エジプト人たちは美しくも恐ろしい冷酷なハンターに、苛烈な攻撃者、あるいはその力をもって敵を退ける守護神としての力を見出したようです。
怖いけど、なんかずっと見ちゃうのよね
ヘビは脱皮を繰り返して成長することから、死と復活を繰り返す再生の象徴となりました。
くしくも古代エジプトの宗教観には、「人間は死後、復活して楽園に行く」という考え方があったため、ヘビたちの存在は当時の人々に特に刺さりやすかったのでしょう。
またコブラの姿をかたどったウラエウスと呼ばれるシンボルは、王権の象徴としてファラオの冠に描かれました。
彼らの守護の力はファラオを保護し、その統治の正当性を強調する役割を果たしたのです。
ヘビの神聖な力は、王室から一般民衆まで広く浸透していたことがよく分かりますね。
ウラエウスについては後ほど解説するぞい
エジプト神話に登場するヘビの神々
いよいよヘビ系神さまの紹介をはじめるよ!
蛇の女神ウアジェト- Wadjet –
ウアジェトは先王朝時代(紀元前3200年~紀元前3100年頃)に起源を持つエジプト最古の女神さまの1人で、大きな翼を持つコブラの姿で表されます。
もともと彼女はブトで崇拝された地方神でしたが、時と共にその信仰が広まり、下エジプト全域の守護女神として認識されるようになりました。
同様に上エジプトの守護女神であった禿鷲の女神ネクベトとは姉妹のような関係となり、合わせて「二人の貴婦人」と呼ばれ、上下エジプトの統一と守護を象徴する存在として大切にされました。
ウアジェトはファラオにとっての「攻撃的な防衛者」であり、その猛毒と火のような睨みで敵を焼き払ったとされています。
彼女の両目は古代エジプトの宗教上とても重要な意味を持ち、それぞれが「攻撃的な防衛」と「母性的な守護」を象徴しました。
またウアジェトは太陽を司り、下エジプトの王が戴く赤い王冠の守護神としても崇拝され、彼女の姿をシンボル化したウラエウスはファラオを守ると信じられました。
ウラエウスってなんなの?
ファラオを守るウアジェトのイメージはシンボル化されて、ウラエウスと呼ばれる装飾品として用いられるようになりました。
ウラエウスは蛇形記章とも呼ばれ、エジプトに生息するアスプコブラが鎌首をもたげて威嚇している様子を形にしたものです。
これは古代エジプトの主権・王権・神性の象徴であるとされました。
ファラオたちは王冠の飾りにウラエウスをあしらうことで、ウアジェトの保護と権力の正当性が得られると信じました。
またこのウラエウスは、燃え盛る目から炎を吐き出して、ファラオの敵を打ち払うとも考えられていました。
ツタンカーメンの頭についてるアレだね
エジプトの半分(雑)は彼女が守っていたのよね
王冠にも登場するマジもんの大物さ!
ウアジェトについては以下で解説じゃ
王墓の守護女神メルセゲル- Meretseger –
メルセゲルはエジプトに生息するコブラの姿をした女神さまです。
彼女はテーベにある墓地群と、代々のファラオたちが眠る王家の谷を守護する役割を持ち、故人の眠り妨げる盗掘者を獰猛なコブラの毒で撃退すると信じられていました。
メルセゲルはその役割にふさわしく、「静寂を愛する貴婦人」や「亡者の国の女主人」といった称号でも呼ばれました。
彼女は王家の谷を見下ろす「タ・デヘント」という丘そのものを擬人化した女神さまで、墓地だけでなく近隣にある墓職人たちの村の守護神でもありました。
彼女は冒涜者を罰する厳しい側面を持つ一方、善い行いをする者には慈悲を与える二面性のある女神さまだったとされます。
彼女への崇拝は新王国時代(紀元前1550年~紀元前1070年頃)に盛んに行われましたが、時代が下るとその役目を終えたとされています。
王家の墓を見下ろす丘そのものが彼女だったよね
完全地元密着型を貫き通した珍しい女神さまじゃ
メルセゲルについては以下で解説しているよ
豊穣の女神レネヌテット- Renenutet –
レネヌテットは穀物、ブドウ、滋養、収穫の女神さまで、コブラの頭部を持つ女性の姿で描かれました。
彼女はテレヌティスという地域で信仰を受け、収穫期には多くの人々がレネヌテットに供物を捧げたと伝えられています。
また彼女は子どもの前向きな運命を司ったほか、王の地位と権力の守護者でもありました。
さらにレネヌテットは幸福をもたらす女神さまともみなされ、ミルクや授乳とも強く結びつけられました。
害獣を退治するとして、ワインの原料となるブドウの農園近くに、彼女の神殿が建てられることもあったそうです。
彼女は先述の蛇の女神ウアジェトや王墓の守護女神メルセゲルと関連付けられたほか、後述する葬祭の神ネヘブカウはレネヌテットの息子であるともみなされました。
蛇神さまにしては珍しく全面的に優し気な女神さまね
シンプルに良い女神さまは安心するね
ここまでご紹介した蛇の女神ウアジェト、王墓の守護女神メルセゲル、豊穣の女神レネヌテットの3柱は、ヘビの中でも特にコブラを神格化した女神さまでした。
たしかにエジプトと言えばコブラを思い浮かべますが、何かイメージのもとになった特定の生物がいたのでしょうか。
実は、彼女たちのモデルになったのはアスプコブラ(Naja haje)と呼ばれる種とされ、日本の古い資料にはエジプトコブラ(Egyptian cobra)と記載されています。
アスプコブラはアフリカ大陸およびアラビア半島南部に生息する、一帯で最も強い毒性を持つヘビの一種です。
平均体長は1.4メートルほどで、最大の個体は2.59メートルのものが確認されています。
食性は肉食で、ヒキガエルのほか小型の爬虫類や鳥類、哺乳類も食べると言われています。
ウアジェトの
へびにらみ!
彼らの持つ毒は強力な神経毒で毒量も多く、たくさんの咬傷事件を引き起こしています。
さすがに現代では血清による治療技術も向上しているので、アスプコブラ被害による人間の死亡率は低下しているそうで一安心。
とはいえ太古の時代においてとても恐ろしい存在だったことは想像に難くなく、ウアジェトやメルセゲルといった形で神格化され信仰を受けました。
プトレマイオス朝最後の女王クレオパトラは自らその生涯を閉じましたが、その際にこのアスプコブラに自身の腕または胸を咬ませたと伝えられています。
古代エジプトにおいてコブラは、死をもたらす恐ろしい存在であると同時にその力で悪しきものを退けてくれる、守護者としての顔も持っていたのです。
悪蛇アポピス- Apophis –
悪蛇アポピスは闇と混沌を象徴する冥界に住む大蛇で、古代エジプトにおける悪の化身とされている存在です。
太陽神ラーの太陽の運行を妨害するため、彼の最大の敵であるとされました。
闇への不安や恐怖が次第に1つの神格に集約された結果であるアポピスは、当然ながら光とは相容れず、その結果ラーに敵対するものという立ち位置についたと考えられています。
彼は古代エジプト人にとって最も身近で畏怖される存在であったヘビの姿をとっており、あらゆる恐ろしいもの、忌まわしいものを体現した神であると言えます。
シリア方面から侵入してくる異民族(=敵)のことを「アポピスの息子たち」と呼んだ時代もあったとされています。
その一方で罪深い亡者を罰する役目を持っていたり、宗教的行事で打ち倒されることで人々の心に安寧をもたらすなど、完全に消し去ることは出来ないのが前提の「必要悪」的な存在であったと考えられています。
嫌われ役を一手に担う、哀愁漂う存在だったよね
倒されることで人々に安心を与えていたのう
アポピスのモデルとなるような種は、現在のエジプトには存在しないとされています。
現存するもので類似した特徴を持つヘビは、サハラ以南のアフリカに生息するブームスラング(Dispholidus typus) という種で、その生息域はエジプトとは遠く離れており、はっきりしたことは分かっていないそうです。
エジプトはこのへん、サハラはこのへん
古代にはもっとたくさんの毒蛇がいたのかもしれんのう
アポピスについては以下で解説よ
葬祭の神ネヘブカウ- Nehebkau –
ネヘブカウは古代エジプトの原初の蛇神さまであり、上述した悪蛇アポピスのモデルになった存在だと考えられています。
彼はヘビの身体に脚が生えた姿で表されたほか、ハヤブサの頭部に人間の四肢、怒張したネヘブカウ自身を持ったヘビの姿で描かれることもありました。
ネヘブカウはもともと悪しき存在でしたが、後に転向してライトサイドの重要な神さまになったとされています。
初期の記録には、彼は7匹のコブラを飲み込んでいかなる魔法でも傷つけられない存在となり、口からは火を吐いたと記されています。
ネヘブカウは冥界をうごめき亡者の魂を貪り食う、邪悪な存在として描写されていました。
太陽神ラーは彼を避けるために、太陽の船(ソーラーバーク)を造ったと言われています。
あれ?
ほぼアポピスじゃね?
ネヘブカウの混沌を抑え回心させたのは、創造神アトゥムだとされています。
慈悲深く平和的な存在になった彼は、冥界の王オシリスが取り仕切る「死者の審判」の裁判官の1人として登場します。
さらに彼はオシリスの護衛を務めたほか、罪なき故人の魂には、死後の世界で永遠に生き続けられるように力を与えたともされています。
またネヘブカウは一時は敵であった太陽神ラーの従者となり、彼の太陽運航の船旅を手伝うようになったと伝えられています。
人々に喜びと正義をもたらす神となった彼は、最終的に冥界におけるラーの役割を引き継ぎ、「天の王であり、二つの国の支配者」と呼ばれるようになりました。
エジプト神話界のパウロみたいなやつね!
1体の大蛇の「良心」がネヘブカウに、
「悪意」がアポピスに分離したとも妄想できるよね!
ネヘブカウの関係者は以下で解説じゃい
その他のヘビ系神さま
ほかにもいくつかのヘビ系神さまが存在するよ
情報は少ないのでざざ~っと紹介するわよ!
- 防腐液の女神ケベチェット- Kebechet –
-
ケベチェットはミイラづくりの際に用いられる防腐液を神格化した女神さまで、ヘビの姿をしているとされました。
彼女はファラオを浄化しリフレッシュさせる存在とされ、これは魂の復活を意味しているのかもしれません。
ケベチェットは故人の霊に水を与える役割を果たしたとされ、そこから遺体を新鮮に保つための防腐液と結びつけられたと考えられています。
彼女は冥界の神アヌビスとその妻アンプトの娘とされています。
【冥界の審判で魂を測る犬神】冥界の神アヌビス-Anubis-【エジプト神話】 | パパ、ときどきトト 今回はエジプト神話の冥界の神「アヌビス」をご紹介!いろいろなエンタメ作品にひっぱりだこの人気者。でも実は割と大人しくて真面目な青年です。 - 出産の女神ケンシット- Khensit –
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ケンシットの名前は「胎盤」を意味し、下エジプトの第20ノモス(古代エジプトの領土区分)の守護女神として崇拝されました。
彼女は天空と東方の神ソプドゥの妻であり、太陽神ラーの娘で、上述のウラエウスとして描かれました。
またケンシットは愛と美の女神ハトホルや豊穣の女神イシスと一体で描かれるなど、さまざまな形で表現されました。
- 守護の女神メーヘン- Mehen –
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メーヘンは「とぐろを巻いた者」という意味の名前を持つ、ヘビの姿をした女神さまです。
彼女は守護女神であり、太陽神ラーが冥界を進む夜の船旅では、彼に巻き付いて護衛を務めたとされています。
また正確な関係性は不明ですが、古代エジプトには彼女と同じ「メーヘン」と呼ばれるボードゲームが存在したそうです。
- 守護の女神ウェプセット- Wepset –
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ウェプセットはファラオを守る女神さまで、ウラエウスで表されるコブラの化身の一人とされていました。
彼女の名前は「燃やす者」という意味を持っており、冥界の王オシリスの敵を滅ぼす役目を果たしたと伝えられています。
またウェプセットは「ラーの目」としての役割も担っており、やはり基本的には攻撃的な手段で敵を退け、主を守る性格を持っていたことが分かります。
ざっくりまとめ
さすが原初の生物ヘビ、
良くも悪くも強い力を持つ神さまが多いわね
なんとなく彼女たちの大まかな傾向も見えてきたよね!
ぱぱっとまとめておこうかの
結論:鋭い牙を持つ蛇神は、なんやかんやでファラオを守る
結論:鋭い牙を持つ蛇神は、なんやかんやでファラオを守る
さすがヘビさん、王冠のウラエウスのモデルに採用されるだけのことはあります。
今回ご紹介したヘビの神々は、それぞれが何かしらの形で王権を守護する役割を果たしているといえるでしょう。
蛇の女神ウアジェトや豊穣の女神レネヌテットは割と直球で王権の守護者とされていますし、王墓の守護女神メルセゲルは永眠したファラオたちの静かな眠りを守っています。
悪蛇アポピスですら、宗教的儀式で打ち倒されることによって人心に安定をもたらし、結果的に王の統治をサポートしています。
またその他の神々も、太陽神ラーとの関係が示されています。
代々のファラオたちは「ラーの息子」を自称しており、彼の力にあやかろうと熱心に崇拝したと言われます。
ラーの娘であったり、「ラーの目」であったり、何らかの形で彼を支える神々はまた、その子孫である王たちにも加護をもたらすと信じられていたのです。
おわりに
今回は、エジプト神話のヘビを神格化した神々を紹介してきました。
エジプト神話に登場する神さまは途方もないほどに数が多く、一説には名前が分かっているだけでも約1,500の神さまがいるとも言われています。
他にも見た目が可愛かったり言動がぶっ飛んでいたり、魅力的な神さまがたくさん存在します。
その他の記事でもどんどんご紹介していきますので、良ければまた読んでもらえると嬉しいです!
ほかのアニマル括り企画も、ぜひ見てみてね!
しーゆーあげん!
参考文献
- ヴェロニカ・イオンズ 『エジプト神話』 青土社 1997年
- 大林太良 伊藤清司 吉田敦彦 松村一男 『世界神話事典 世界の神々の誕生』 角川ソフィア文庫 2023年
- 沢辺有司 『図解 いちばんやさしい世界神話の本』 彩図社 2021年
- 歴史雑学研究倶楽部 『世界の神話がわかる本』 Gakken 2010年
- 沖田瑞穂 『すごい神話 現代人のための神話学53講 』 新潮社 2022年
- かみゆ歴史編集部 『ゼロからわかるエジプト神話』 文庫ぎんが堂 2019年
他…
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